女のラブレター
お久し振りです、お元気ですか?私はというとどうにも近頃体調が優れず困っています。
貴方がこの手紙を読んでくれているという事は私は無事に郵便局で切手を買ってポストに投函したということですね。別にコンビニで切手を買ってもいいし、郵便局でそのまま手紙を出してしまってもいいんじゃないかと貴方は思うかもしれませんが、それではいけないのです。これは半ば儀式のようなもので決まっているのです。私は郵便局で切手を買い、ポストに投函しなければなりません。これは絶対なのです。
私はこの手紙が書きたくて、その為の青インクの為に町の文房具屋を三件巡りました。どれだけ大変だったかが分かりにくいかもしれないけれど本当にすごく大変だったのです。青インクってなかなか売ってないものなのですね
私が今この手紙を書いているのは私の中でふわふわと漂う雲みたいなものを全てこの手紙に封じ込める為です。なんと名をつければいいのかよく分からないけれどそれは確かに私の中で蠢いています。
さくらんぼの種を出そうとして間違って飲み込んでしまったような、胃液が喉にひっかかってしまったような、なんだかとても言葉にしづらいのですが、私にはそれが病気のように感じるのです。
黒い雲がふわふわと気儘に私の中を飛び回るたびに私のなかに埃のようなものが少しづつ溜まっていくのです。そしてその埃はいつの間にか固まって、真綿で首を締められるように、私はじんわり死んでいくのです。
貴方には分かるでしょうか、分からなかったとしても仕方がありません。私は貴方の顔も声も名前も、何も知らないのですから。
そういえば私はこの間旅行に行ってきました、どこに行こうか考えて、決まらなかったので適当に電車を乗り継いでよく分からない所に行ってきたのです。そこには色々なものがありました、それは例えば死んだトカゲだったり崩れかけた家だったり木の上から私の事をじっと見つめる小鳥だったりするのですが、私にはそれが新鮮だったのです。貴方もきっと気に入ってくれると思うわ。
その旅行、行くのは良くても帰り道が分からなくてとても大変でした。貴方は道には詳しいのでしょうか?もしそうなら帰り道は貴方任せでもう一度気儘に旅をしてみたいものです。
手紙、まっています。さよなら
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