ミナ山









「ミナト、ちょっと」
声をかけてから手招きをすればぴょこぴょこと跳ねるように駆け寄ってくる。頭の上にかかったケーキを模したサングラスにはデカデカとHAPPY BIRTHDAYという文字が踊り、肩からは今日の主役と書かれたたすきがかけられているし、誰がやったのか分からないがキラキラしたモールが首にかけられ、すごい光景だ。
ポケットの中から小さな包みを取り出してミナトの洋服のポケットにねじ込み、ニコリと笑う。ポケットの中から包みを取り出そうと手を伸ばすミナトの手を握れば、ミナトの首が傾いて頭の上には疑問符が浮かんだ。
「後で一人の時にこっそり見るように。あと、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます!」
すぐに呼び戻されてまた輪の中心に戻っていくミナトを眺めていれば、楽しそうな笑顔を見せるその姿にこうやって誕生日を祝えてよかったなんて、柄にもない考えが頭に浮かぶ。
ミナトの為に、と寮生達がみんなで作った料理も、近くのケーキ屋で予約して引き取ってきたケーキもあっという間に綺麗に片付き、帰りが遅くて料理を作れなかった寮生達がせめて洗い物くらいはと意気込むミナトから汚れた皿を奪っては綺麗にしていく。
洗い物はもう任せてしまうが、濡れた食器を拭いて片付けるくらいはしようかとタオルをもって近づいていけば、シンがあまりにもキラキラした顔でタオル持ってきてくれてありがとうございますなんて言うもんだから、結局タオルも渡してしまってやることもなく、慣れない様子で椅子に座っているミナトの隣に腰を下ろす。
「あ、」
声をあげればミナトの澄んだ目がこちらを向き、次に続く言葉をじっと待っている。今伝えるかどうか少し悩んで、それでもまあ伝えてしまって問題ないかと言葉を選んで口から吐き出す。
「言い忘れてた、プレゼント見たら寮長で待ってるから」
「えっ……今から見てもいいですか?」
「だーめ、ちゃんと一人で見ろよ」
ソワソワと落ち着かない様子のミナトを置いて食堂を後にしたが、ミナトはきっと言いつけ通り一人になってからこっそりあの小さな包みを開けて、中に入っているコンドームをもって寮長室にやってくるのだろう。誕生日はワタシ、なんて小柄で可愛い女の子とは似ても似つかない成人男性にされても嬉しくないのかもしれないが、それはもう諦めてもらうか小柄で可愛い彼女を作ってもらうしかない。
「先に風呂入ってくるか」
ミナトが未成年じゃなければ酒くらい用意するのに、と言っても仕方ないことをぼやきながら、今日の誕生日パーティーの後片付けは全て明日の自分に任せ、のんびりと近いうちにプレゼントと取りにやってくるミナトへの誕生日プレゼントの準備を始めた。


















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