荼毘
陽炎



風がノイズを立てる。流れる橙色を視界に捉え、迷わず手を突き出した。細い腕が悲鳴をあげるほど力を込めると長い前髪から目が覗いた。呼ばれた名前が風にかき消される。胸に痛みが走るより先にバチッと火花が散りあっという間に姿が消えてしまう。手に残る体温の残骸を握り潰した。
create 2018/09/25