路地を抜けたところにある石造りの階段を抜けると
そこは高台へと続いていた。
そこにはいくつかの花壇があり、
赤やオレンジが鮮やかな可愛い花が咲き乱れていた。
手すりの方へと向かうと、
そこから見渡せる景色は、
言葉にならない美しさだった。
海と空の境目がわからないほど
真っ直ぐに続くコバルトブルー。
少し下に視線を移すと、
緑と黄色が美しいレモンの木々。
そこから吹く風は、暖かくて潮の香りがして
その中にほんのりレモンの匂い。
「すっっっごい……!!!」
「あァ…」
「さっきの街並みも全部綺麗だったけど
ここは特にすごいね。
こんっなに素敵な島、あるなんて知らなかった」
「圧倒されるな、こりゃァ」
私はこの最高の空間に興奮して
いつもよりさらに声が大きくなってたことに気づいて
少し身を小さくした。
「はしゃぎすぎた」
「ははっ、
はしゃいでるNAMEちゃんも可愛いよ」
「それは…ありがとう」
我ながら色気のない返事だと思った。
「なんか、安心した」
「へっ?」
「最近…NAMEちゃん、
なんとなく…おれと話す時、
なんていうかな…緊張してるような
感じに見えて。」
「え」
「いや、気のせいかもしれねェってレベルだよ?
おれも自信なかったし。
でも、ここに来て、あァいつものNAMEちゃんだなあ
と思って、嬉しかった」
私は、絶対誰にも気づかれてないと思っていた。
これくらいの感情、上手に隠せると。
わたしの腕が落ちたのか、
想いがそれだけ強いのか
サンジがすごいのか
どれなのかはわからない。
でも、理由はどうあれ他の誰も気づかないような
気のせいかもと思うくらいの少しの変化に
気づいてくれたことが嬉しかった。
私は上手く答えられそうになくて
何も言えずにいたけど
サンジは特にそれを気に留めることもないような顔で
「やっぱりここはNAMEちゃんの大好きな
レモンが特産みたいだ」
そう言って、レモンが大量に積んであるワゴンを指さした。
「ほんとだ!これから1週間はレモン尽くしかな〜!」
「そりゃァ…ブルックはピンチだな」
「確かに」
私達は笑いながら歩き出した。
私はサンジに目は合わさずに
独り言のようにありがとう、と小さい声で言ったけど
ん〜?と、聞こえるような聞こえないような返事をして
サンジはそのまま足を進める。
本当に、好きだと思った。
サンジとの関係が、どうなっていくかは
わからない。
ずっとこのままかもしれないし、
上手くいくかもしれないし
もしかしたら上手くいかないかもしれない。
それでもこのあたたかい、
好きという想いだけはこのまま持っていたいと、
そう思った。
「さァ〜今から重労働だ」
「そうだった!」
そう言って私達は、市場へと向かった。
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