船に戻ると、ウソップとルフィは
ちゃんと無事食材を持ち帰っていた。
先に帰っていたナミが見張っていてくれたから
ルフィに盗み食いをされずに済んだみたい。
島を離れた方がいいという話になり
みんなが揃ったところで島から出航して
少し離れた場所で今夜は停泊することにした。
「そういやお前らよぉ、
俺たちに荷物持たせて何してたんだ?」
ウソップが尋ねる。
当然の質問だった。
私が答えるより先にサンジが
「そりゃァお前…聞くのは野暮ってモンだぜ?」
と言って私の腰に手を回した。
サンジなりに私に気を使ってくれてるんだとわかった。
でも今後みんなに迷惑をかけることが
あるかもしれないと思うと
その時に言うよりも
今言っておいた方がいいんじゃないかと思って
私は、ことの経緯を話す事にした。
「さっき、ルフィとウソップが騒ぎ起こしてたでしょ?」
そう切り出すと、サンジの手が私から離れた。
ルフィとウソップがレストランで騒ぎを起こした相手が
パティーニ・ファミリーという
西の海の5大マフィアのうちの一組だということ。
そして、私が西の海にいた時に
マフィアの情報と裏金の運び屋をしていたこと。
その時に知り合った、
西の海5大マフィアの中でも1番勢力の大きい
マローノ・ファミリー、
そのアンダーボスの事。
「私は、ファミリーに所属してはいなかった。
でも、幹部に太いパイプを持っていたから…」
「それで、あの島でパティーニの男に偶然会って、
正体がバレてしまったってことね?」
ロビンが言う。
「そう。アンダーボスは私を連れ戻そうとしてるから、
パティーニの男は私をマローノに売ろうとした。」
「それで俺が、一味を代表して
丁重にお断りさせていただいたってワケだ。」
サンジが後ろから補足を入れる。
「丁重にっていうか…力尽くでというか…」
と言いながらサンジを見る。
サンジは、タバコの煙を吐いた。
「なんてことしてくれたのよ…!
って言いたいところだけど、当然ね」
ナミが腕を組みながら笑う。
嬉しい、素直にそう思ったけど
それでいいのかなとも思った。
「でももしかしたら、報復にくるかもしれないし
マローノの追手がくるかもしれない。
…最近、四皇の1人の傘下に入ったって
噂も聞いて…」
「え〜!?あんた結構厄介なやつとつるんでたのね…
でもまぁ、そんなの、こいつらがブッ潰してくれるから何の問題もないわよ」
ナミがそう言うと、みんな口々に、
当然だ、まかせろと言ってくれた。
四皇の話を聞いて、
ウソップやチョッパーは顔が固まってたけど…
それでも皆の顔は、私の悩みがちっぽけだとでも
言ってくれているように見えた。
仲間のために政府に喧嘩でも売る人達だ。
わかってはいたけど、いざ自分の事となると
自信を無くしてしまっていた。
「だいたい仲間が連れていかれるなんて事になったら
船長が黙ってないわよ。」
そう言われて、ルフィの方を見る。
ルフィは相変わらず寝ていたけど、
やっぱりルフィの顔を見ると、なんだか安心した
「ありがとう…!」
確かに、みんなは強い。
でも腕っぷしの強さだけじゃなくって
まかせろと言ってくれるみんなの言葉が、
心が、なによりも心強かった。
私がここにいてもいいんだって言ってくれる
その気持ちがなによりも嬉しかった。
それにしてもNAME、マフィアのあとに海賊とか
どんだけ凶悪なのよ、とナミが笑って、
みんなもそれに続いて笑っていた。
「さて、じゃあそろそろ飯の準備でもしようかな」
サンジが私の背中を軽く叩いて
話を変えるかのように切り出した。
その言葉が目覚ましかのように
ルフィが起きて、腹減ったと騒ぎ出した。
その日の晩御飯は、もちろん島で手に入れた
シーフードをふんだんに使った豪華な料理。
みんなで大騒ぎして最高においしい料理を食べる。
いつもと変わらない、幸せな時間。
ご飯を食べた後はいつものように
みんなそれぞれ好きな時間を過ごした。
私は、ゾロに約束のお酒を届けに行った。
ゾロは展望室でトレーニングをしているところだった。
「ゾロ〜」
「おぉ」
逆立ちをしながら
信じられない大きさのダンベルを持ち上げていた。
相変わらず常軌を逸したトレーニング。
「約束のやつ、持ってきたよ。いいお酒」
「おっ…いいね…こりゃァ…」
トレーニングを中断し、
私が持ってきた瓶を見て驚いた顔をする。
「かなり高ェヤツじゃねェか…
あのバカコック…本当女に甘ェ…」
「ゾロじゃ絶対買ってもらえないやつだね。
私が飲むって言ってるんだから、こっそり飲んでよね」
ゾロが嬉しそうに早速瓶の蓋を開けて、そのまま瓶ごと煽る。
高いやつなのに…
「お前…趣味悪ィな」
ゾロが言った。びっくりして、ゾロの顔を見ると
特に気にしてない様子でこれ美味ェな、とか言っていた。
「え?不味かった?」
その事じゃない事くらいわかってたけど
ゾロに気づかれてるはずがないと思って
誤魔化した。
「んなわけねェだろ。
男の趣味だよ。
…まぁいいけどよ。」
「…私、そんなにわかりやすかった?」
「いや…他は気づいてねェだろ」
きっとほんの少しの空気感の違い。
それでも何かを察するゾロは、
さすがとしか言いようがなかった。
それだけ、仲間の事見てるんだよね。
バカみたいと思わせといて、本当、鋭いんだから。
「ねえ、ゾロも、さっき言ってたやつらがやってきたら
私のこと守って、あいつらをやっつけてくれる?」
冗談混じりに尋ねると、
ゾロはその場面を想像したのか
少しうんざりしたような顔になった。
「俺がやる前にアイツがやるだろ」
「そうだといいけどね」
私は笑って、展望室を後にした。
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