頭がぼーっとする。

あの後なんだかんだゾロのところにいて
女部屋に帰ったのは数時間前。
あれからまた少し飲んだから、
部屋に戻ってからはすぐ眠れたけど。
基本ロングスリーパーの私は
睡眠不足にとても弱い。
海賊としてどうなのって話だけど。

まだまだ眠っていたかったけど
起きなければならない時間になって
ナミに叩き起こされた。


「…眠い…」

「NAME、あんた顔浮腫んでるわよ」

「サンジと何かあったのかしら」


ナミとロビンの顔が興味に満ち溢れた顔へと変わった。

いまさら2人に隠すつもりはないけど、
どこから話したらいいのかがわからなかった。
落ち着いたら話すから、と嗜めた。

つまんない、とナミは拗ねたように言いながらも
夜は寝なさいよ。睡眠不足はお肌にも悪いし、
と心配してくれた。
ロビンも特に何かを言うわけではなかったけど
なんだか嬉しそうに笑ってくれていた。


それはそうと、昨日の今日で
私はどんな顔してサンジの前に行けばいいんだろう。
朝ごはんパスしようかな?なんて一瞬思ったけど
その思いも虚しくお腹の虫が鳴ったので、
諦めてダイニングへ向かうことにした。


だいたい、さりげなく誤魔化せばよかったのに。
いつもなら、それくらいソツなくこなせるのに。
サンジの事になると、
全く役に立たない自分の頭を呪った。


部屋から出るとちょうど
ニュース・クーが飛んできたところだった。

朝食の前に軽く目を通して少し落ち着こうと思って
新聞を購入して、船首甲板下の階段に座る。
芝生甲板で、ルフィとウソップとチョッパーが
お腹を空かせてゴロゴロしていた。


「なんか面白いニュースあるか〜?」


ウソップが顔だけこちらに向けて聞いてくる。


「う〜ん、特にこれといって……」


そういってページを捲ると、
新聞に挟まれていた何かがぱらりと足元に落ちた。


「あ、手配…しょ」


拾って、表を見た私は、自分の目を疑った。


「えええええ〜〜〜〜!??!!??!」


私の大声で驚いたルフィとウソップとチョッパーが
駆け寄ってきて私の手の中のそれを見て
ウソップとチョッパーは私と同じように驚き
ルフィはキラキラと目を輝かせた。


「NAMEが…賞金首になってる〜〜〜!!!」


その声を聞きつけて他の仲間たちも集まってくる。
そう、新聞の間から落ちたのは、新しい手配書。
そこに、私の顔と名前がどん、と載っていたのだ。
なぜかルフィが嬉しそうに笑っていた。


「みんなが賞金首になった時もどうにか逃げ果せてきたのに!」

「エニエスロビーの時も上手いこと顔隠してたよな」

「そげキングの仲間みたいになってたもんな」

「そういやそげキング元気かなあ〜?」

「…」

「ついに顔出し本名で晴れて賞金首ってわけか」

「しかも1800万ベリー!?」

「この一味である事と、裏社会との
繋がりを考慮しての金額でしょうね」


みんな、口々に騒ぎ出す。
なんだかはしゃいでるけど
私は全く嬉しくない。


「でもまた何で急に?」

「昨日の奴らの仕業だろうなァ」

ウソップの素朴な質問に
フランキーが答えた。
恐らくその通りだろう。
昨日の奴らがマローノ・ファミリーに情報を渡したのだろう。


「つーかよォ、むしろよく今まで賞金かかんなかったな?
お前ヤバい奴らと繋がりあったんだろ?」

「例のアンダーボスが
NAMEを連れ戻した時の為に
賞金をかけないように手回ししていたけれど
今は私達の仲間だということを知って
報復の意味も込めて賞金首にした…というところかしら。」

「多分ね」


ロビンの言うとおりだった。
私は憎き男の顔を思い浮かべて
大きなため息をついた。


「いいじゃねェか!お祝いしようぜ!!!」
 

ルフィが目を輝かせている。
なんでお祝い!?めでたくなんかないし!
そう言うとナミが私の肩を叩き、諦めなさい、と言った。


「結構写りいいわよ?よかったじゃない」


などと呑気なことを言っている。
ナミだって、最初は嘆いてたくせに!
まあ、それもナミの言う通り、諦めるしかないんだけど。

私は深いため息をついて、項垂れた。


「おい、メシできたぞ!!」


キッチンで朝食の準備をしていたサンジも
いつのまにか甲板に出てきていた。
サンジの声でみんな一斉にキッチンへと向かう。
私も、この話題も切り上げたかったし
お腹も空いていたから
ありがたいタイミングだ、と思い、
キッチンへ向かった。


サンジは入り口の前に立っていて
中に入るときにすれ違う羽目になった。
少しドキドキしながら、出来るだけバレないように
渾身の演技で「おはよう」と言った。


「おはよう、NAMEちゃん」


いつも通りのサンジの声だ、と少し安心して
前を通り過ぎようとすると


「ご飯の後、少しいい?」


小さいけど、いつもよりもすこし低くて
耳の奥に響く声に心臓が跳ねた。
一瞬、私に向けた言葉なのかわからなくて
咄嗟にサンジの顔を見た。


「私?」


サンジは一瞬だけ目を開いて
笑いながら言った。


「他に誰もいないよ」


もう他のみんなは席に着いていてぎゃーぎゃーと騒いでいた。


「いい?」


私より20cm以上も背が高いのに
何故か上目遣いに見える甘えた声で言う。
ダメなわけがない…


「うん。…いいよ」


余裕がある素振りをしたけど、
うまく出来ているだろうか。
正直、ここ最近というかサンジに関して
私の本心を隠すスキルが全く働かなくなっているので
自信はなかった。


「よかった。さあ、食事にしよう」


サンジはなんだかホッとしているように見えた。
私の、勘違いかもしれないけれど。






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