※付き合ってないのに、酔った勢いでサンジと
やっちゃいます。
苦手な人は回れ右でお願いします。
(具体的な描写やシーンはありません)
「う〜ん…」
随分とぐっすり眠っていたようだ。
まだ、頭が半分くらい沼に浸かっているように重くて
意識と体が繋がっていない感覚だった。
身体を捩ると、頭の奥が重いような、
にぶい痛みが走る。
元々寝起きが良い方ではないけれど
いつもの何倍も重く感じる、
動きの悪い腕をゆっくりと伸ばす。
布団とは違う、硬くて温かい感触。
瞼はまだ重くて、なかなか開かない。
目は半分以上瞑ったまま、
手を動かしてその感触を確かめる。
ぺた、ぺた、と手のひらから感じるそれは
人の肌のようだった。
人の…肌…??
その思考に至った途端、急激に意識が覚醒して、
さっきまで鉛のように重たかったはずの瞼が
ぱっちりと開いた。
そして信じられない景色が、視界に広がった。
「……!!!???」
「あ、起きた?」
「……サ、サンジ!??」
目の前にいたのはサンジだった。
私の頭の下にはサンジの腕が敷かれていて
視界はサンジの顔でいっぱいになる程の至近距離。
ここはベッドの上で、目の前にサンジ。
その事実に混乱して咄嗟に起き上がって見ると
目の前のサンジは、服を着ていなかった。
まさか、と思って自分を確認すると、
私も、服を着ていなかった。
一体何が、というかこの状態から
想像がつく事態といったらひとつしかなくて
頭の奥に潜んでいた痛みが強くなった気がした。
私は自分の体に掛けていた布団を
そっとめくり、中を覗いた。
下着だけは付けているだろうという、希望を抱いて。
けれど、私の希望は見事に打ち砕かれた。
「えっ…えっ!??!」
手にしていた布団で自分の体を包んで後退りをすると
思ったよりもベッドの端にいたらしく
バランスを崩した。
落ちる、と思って体に力を入れて目を閉じた瞬間、
体がぴたっと止まって、
ふわっとあたたかいものに包まれた。
恐る恐る目を開けると、
目の前にはさっきよりも近くにサンジの顔があった。
ベッドから転げ落ちそうになった私を、
サンジが支えてくれていた。
この一瞬でここまで近づいて
抱き止めてくれる瞬発力は
さすがサンジとしか言いようがなかった。
本来ならば真っ先にお礼を言うべきなんだろうけど
私は、先程確認した現状に対する混乱と
とてつもなく早く動く心臓のせいか
サンジに触れられている部分がばかみたいに熱くて
上手く言葉を発する事ができなかった。
「大丈夫?」
サンジは、少し笑っていた。
「う。あ…ありがとう」
どういたしまして、と言って私を抱き起こして
そっと離れてまた元通りの距離をとって
サンジはベッドに座った。
「えっと…その様子だと…覚えてねェみたいだな」
サンジは少し気まずそうに、苦笑いをして私を見た。
覚えていない。
全くもって、覚えていなかった。
けれど、この状況で素直に
覚えていないと言う事も憚られて
私は何を言ったらいいかわからず、言い淀んだ。
何も言わなかったけれど、それが答えとなり
サンジは「そっか」と言ってベッドサイドに置いてある
タバコに手を伸ばし、火をつけた。
「やっぱ覚えてねェか…
結構ショックだなァ」
「ご…ごめん」
いや、いいんだ、と言って笑いながらも
なんだかサンジが本当にしょんぼりしてるように見えて
とても強い罪悪感が生まれた。
覚えてないことは本当に申し訳ないけれど
それ以上に、本当に一体何があったのか、
まずは知りたかった。
もしかしたら、私が想像していることは
杞憂かもしれない。
ここは明らかにサニー号ではない。
船独特の揺れもないし、
何よりサニー号にこんな部屋はない。
私達が座っているベッドは
とても大きくてふかふかだった。
軽く部屋を見渡すと部屋自体は明るくて
観葉植物がたくさん並んでいる。
大きな窓があり、ベランダには小さなプールがあった。
まあまあ良いお値段がしそうな部屋だった。
「何から説明したらいいかな…」
そう言って、サンジは頭を掻いて髪をかき上げる。
服を着ていなくて下は大きい枕で隠されているだけで
(多分、私が布団を奪ったから)
正直言って目のやり場に困る。
「昨日、この島について…
みんなで酒屋で飲んでたのは…覚えてる」
「そっか。じゃあ、その後に別行動したのは覚えてる?」
私は、恐らく昨夜の酒が少しまだ残っているのか
靄がかかったような頭を必死で捻る。
「カジノに行ったんだよ。
おれと、ナミさんとロビンちゃんとNAMEちゃんで。
あ、あとウソップも」
「あ〜…」
言われてみたら、少しずつ思い出してきた気がする。
「それで、NAMEちゃんポーカーにハマって
しかも結構強くてさ。
ガンガンお酒飲んでたから、おれ心配で
NAMEちゃんについてたんだよ。
NAMEちゃん、あんまりお酒強くないだろ?」
「うん…」
「でも勝ってたから気分良かったのか
めちゃくちゃ飲んでてさ。
おれももっとちゃんと止めりゃよかったんだけど…」
ああ、なんかどんどん思い出してきた。
ガヤガヤと賑やかで華やかなカジノ、
普段滅多に経験しない事からくる独特の高揚感で
かなりテンションが上がっていて
賭けの相手に煽られるがまま、
普段なら絶対飲まないレベルの量のアルコールを
かなり早いペースで摂取していた気がする。
「あれ…でも私、確か最終的に負けなかったっけ…?」
「うん。それでNAMEちゃん、
全部スッちまったからヤケ酒しはじめて」
「…」
「っていうか、相手のヤローがイカサマしてたのに
おれが気づいて、相手脅して金取り返してる間に
気づいたらめちゃくちゃ飲んでたんだけど」
ちなみに相手のヤロー共から多めにとった分から
ここの宿泊費は払ってるから安心して、
と言ってサンジは笑った。
「…な、なにもかも…ごめんなさい…」
本当にどうしようもない有様で、
何から何まで、申し訳なくて
ベッドに頭を擦りつけんばかりに項垂れていると
サンジが顔をあげて、と優しく言った。
「いや、おれがついていながらそんな事になっちまって、
おれの方こそホントに申し訳ねェ」
話を聞いている限りサンジは1ミリも悪くないし
むしろサンジがいなかったら
もっと悲惨な状況になっていただろうから
サンジには感謝しかない。
…ただ、それからどうやって
こんな状態になってしまったのだろうか。
この疑問が顔に出ていたのか、声に出ていたのか
サンジは「そうだよね」と言って
話を先に進めた。
「後から他のヤツらも来たから
ナミさんたちはアイツらに任せて
おれはベロベロに酔っ払ってたNAMEちゃんを
船に連れて帰ろうと思って、
先に2人でカジノを出たんだ。
ただ、この島はでけェから船までは結構距離あってさ。
途中でNAMEちゃんの具合悪くなっちまって
それで、服も汚れちまったから…」
自分の事ではあるのに、
何をやっているのかと呆れ返ってしまい
きっと記憶があったら恥ずかしさと情けなさのあまりに
今すぐ走ってこの場なら逃げていたかもしれない。
記憶をなくしていることを今だけは有り難く思った。
今でも充分、穴があったら入りたい状態だけど。
「…私の服、もしかしてサンジが洗ってくれたの…?」
「あァ、ごめんね、勝手に」
「全然!!むしろ、ありがとう…
っていうか、本当にごめん…」
全然いいよとサンジは笑ってくれたけど全然良くない。
私は、ずっとサンジのことが好きだった。
でもサンジは仲間で、私はこの一味が大好きで、
みんなと冒険をすることが大好きだった。
だから、私は自分の気持ちをずっと隠していた。
相手が誰であっても酔いつぶれて記憶なくして
目の前で吐いて挙げ句の果てに
ゲロまみれの服を洗わせるなんて
恥ずかしいし申し訳ないのに
ましてや好きな相手にこんな醜態を晒すなんて
申し訳ないし、恥ずかしいし、最悪だ。
絶対幻滅されたな、と絶望した。
「あ、っていうことは、
服を洗ったから裸になってるだけ…」
そこまで言いかけて、はたと気づいて言葉を止めた。
だって服を洗うためだけなら、
サンジまで裸になる必要は、ないから。
「…それが…」
サンジは言いにくそうに口を開いた。
一瞬だけ、思い出したのかデレっとした顔になったので
私は察してしまった。
「確かに、最初は洗うために服を脱いだんだけど
おれは極力見ねェようにしてたんだ。
さすがにマズいだろと思って…場所も場所だし。
でもNAMEちゃん酔ってたからか、そのまま…その
おれにキスしてきて……」
私は頭を抱えた。
一体、私はなんてことをしたんだ。
サンジへの想いは確かに
日々溢れていく一方だったとはいえ
酔った勢いで…襲うとは…欲求不満…?
どんなに酔ったって
今までこんなことは一度もなかった。
しかも、全く覚えてないなんて…
正直言って…勿体なさすぎる。
「おれもいくらなんでも泥酔したレディに手を出すのは
マズいと思ったんだが…すまねェ…
好きな子に、下着姿でベッドの上でキスされて
押し倒されて、さすがに…
…止められなかった」
「サンジ…今なんて」
「え…押し倒されて…」
「ち、違うそうじゃなくて…いやそれもだけど、
好きな…子?え?」
「…昨日もちゃんと言ったんだけど、
やっぱり覚えてねェか…」
サンジはそう言って、タバコを灰皿に押し付けた。
「ま、待って…!好きな子って…
それ、私の事…?」
「ここには他にいねェだろ?」
そ、そうだけど…
そうだけど。
サンジが私の事好きなんて、信じられない。
だって、私たちは仲間で…
サンジは、世界中の女の子のことがすきで…
「あの、サンジさん…?
つかぬ事をお伺いしますが、
そ、その好きって、どういう…?」
サンジは少し苦笑いをして、
それから少し考えるような顔をした。
少し私に近づいて
体に巻きつけた布団を握りしめる私の手を握った。
「…おれは、NAMEちゃんの事、ずっと好きだった。
1人の女性として。
他のレディたちとは違う、特別な気持ちだよ。」
私はまだ、夢を見てるのだろうか。
でも、それにしてもすべてがやけにリアルで、
感覚がありすぎる。
私はサンジの事が好きだけど、
まさかサンジが私の事をそういう風に思っていたなんて
全くもって、考えもしなかった。
でも、目の前にいるサンジの表情は
とても冗談を言っているようには見えなかった。
「…サンジ、私のこと軽蔑しないの?」
「軽蔑?なんで?」
「だ、だって、いくら泥酔してたとはいえ…
こんな醜態晒すなんて…」
「それを言うなら、おれだって同じさ。
酔ってるNAMEちゃんに
つけ込んだって言われても仕方ねェ」
「そんな…」
「それに、NAMEちゃん…昨日さ、
おれにキスしながら何度も言ってたよ。」
「え。な、なんて…?」
「サンジの事が好き。
こんなことサンジとしかしない、って」
「…!??!?」
「本当に思い出せねェ?」
サンジがさらに距離を詰めて
私の手を握っていた左手を引き寄せて
右手は私の腰に回した。
一気にサンジの顔が近くなって
たばこのにおいがした。
サンジの顔がゆっくりと近づいてくる。
こんな時なのに、
まつげ長いな、とか髭がいつもより伸びてるなとか
余計な考えが頭をよぎった。
鼻先が当たるほどの距離で、サンジに見つめられる。
サンジが顔を少し斜めに傾けたのを合図に
私は目を閉じた。
ちゅ、と音を立てて軽く唇が触れた。
唇が離れて、すぐにまた重なって、
それを何度か繰り返した。
繰り返すうちにすこしずつ深くなっていって
手を握られていたはずの左手は
私の後頭部にまわっていた。
触れ合う唇も、円を描くように後頭部で動く手の感覚も
優しく撫でられる背中も、すべてからサンジを感じて
気持ちが良くて、頭が心地よく惚けた。
溶けそうな思考の先で、ちらちらと記憶の影が揺れる。
まだ触れられてないのに、
体のいたるところを
触れられる感覚があった気がした。
私を止めようとするサンジの焦った顔、
余裕なさそうに眉を顰めるサンジの顔
この部屋の高い天井を背に私を見つめる、
真剣な、でも優しい目をしたサンジの顔。
フラッシュバックするように、映像が蘇ってきた。
「あ…」
唇が離れる。
目の前のサンジは、私の顔を見て気付いたようで
期待を込めるような視線で私を見つめた。
「もしかして、思い出した?」
「全部じゃないけど…ところどころ…」
思い出した内容が内容だから、
少し恥ずかしくて目を逸らした。
もう本当に、今更だけど。
サンジもそれに気付いたようで、一気に顔が崩れた。
「へえ〜何思い出したの?♡」
にやにやと笑いながらまた私の手を握りしめて
今度は指を絡めてきた。
「…言わない」
そう言って、私は自分の頭をサンジの肩に押し当てた。
恥ずかしいやら、情けないやら、
いろんな感情でぐちゃぐちゃで
真っ直ぐに顔を見れる自信がなかった。
それでも、サンジがさっき言ってくれた言葉と
私に見せてくれる表情で、
内心、浮かれているのも事実だった。
サンジは、優しく私の頭を撫でる。
気持ちよくて、心が落ち着いた。
「ねえ、サンジ」
「何?」
「私、今…酔ってないんだけど」
「うん」
「…サンジの事が好きだよ」
「!!」
サンジが、私の両肩を掴んで、体から離す。
そのせいで真正面からはっきりと向き合う形になった。
サンジは目も口も見開いて、
驚いたような顔をしていた。
「な、なに…?」
「…素面で言われる破壊力に圧倒された…」
予想外の返答に驚くと同時に
可笑しさが湧き上がってきて、私は笑った。
「なにそれ」
いやぁ、などと言いながら
サンジはでれでれとした顔になった。
真面目なのか、ふざけてるのかわからない。
相変わらず、サンジは面白い。
そんなところも大好きだった。
「ねえサンジ」
「なあにNAMEちゃん♡」
サンジは上機嫌で、ウキウキと効果音が出そうなくらい
浮かれているのが一目でわかる状態で
可笑しくて可愛かった。
「やり直したいな。ちゃんと。もう一回」
そう言って、今度は私から
サンジの手を取って、指を絡めた。
それから、サンジの唇に軽くキスをした。
サンジは驚いたように一瞬固まって、
すぐに意味を察したようで、
身体中からハートを弾け出させて
生き生きとした表情になった。
「喜んで〜〜っ!!♡♡♡」
そう言ってサンジは私に思いっきり飛びついて
ふかふかのベッドに押し倒す。
私の上で、ふりふりと揺れるしっぽが見えそうなくらい
素直に浮かれるサンジが可愛くて、愛おしかった。
私もきっと、サンジに負けないくらい、浮かれている。
「NAMEちゃん、大好きだよ」
「…私も、大好きだよ」
私は笑いながら、
少しずつ真剣さと熱を持つ
サンジの唇を受け入れた。
end
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