──あれから佐原先輩からの嫌がらせは完全に無くなった。
だから麻子先輩に話してもいいのだけど、なんか話しにくかったんだ。
でも、話さなきゃ…いけないよね。
──そう思って私は勇気を振り絞って話すことにした。
「…実は…。数日前に佐原先輩に呼び出されて…。佐原先輩の男友達に襲われそうになったんです…!」
「え?!」
「…私怖くて怖くて…。必死で律君を呼んだんです!そしたら律君が来てくれて…。助けてくれました!」
「…そうだったの。やっぱり理恵のやつ仕掛けて来たか。…まあもう済んだならよかったけど…。」
「今まで黙っててすいませんでした!」
「いいのいいの!
「え?!あ、は、はい!」
麻子先輩は
「…まあいいんじゃない?桜木のことを名前で呼べるなんて
そんな麻子先輩の言葉に私は以前美紗に言われたことを思い出していた。
──美紗の言っていたことは本当だったんだ。
律先輩のことを "律" って呼べるのは…。
私だけなんだ。
──何だかそんな事が無性に嬉しくてたまらなくなった。