この世の終わりみたいな顔をする旭を見て、緊張なんて誰だってするでしょ、とわかったような口を聞けば、口から心臓が出そう、なんて言ったものだから私は眉を下げて笑う。

「明日、コラボ企画のデザイン案通らなかったらどうしよう」
「そんな顔してたら通るものも通らないよ」
「それは絶対に困る」
「任せられたってことは、旭には出来るって評価されてるってことじゃん。頑張らなくていいから、自信持ってやればいいんだよ」

 見た目とは裏腹に、旭はちょっとへなちょこで、さらには情けないところもある。今の方がマシだと旭は言うけれど、それはどうだか知る術はない。

「なまえに言われると、出来る気がしてくるんだよなぁ」
「出来るよ、旭は。やるときはやる男だもん」
「……俺を乗せるの、上手すぎじゃない?」
「弱いところも、強いところも、全部わかってるからね。旭が褒めて伸びるタイプなのはもちろん、やる気スイッチの場所だって知ってるよ」

 布団の中。緊張で冷えた掌はゆっくりと温まり、私の背中にぴったりとくっつく。肩まである旭の髪がくすぐったくて、心臓のあたりをくすぐられているようだ。目尻が下がり、細まる目。優しく上がった口角を見れば、もっと。

「じゃあなまえにはずっと一緒にいてもらわなきゃ」
「あはは、プロポーズみたい。今の」
「……え!あ、いや、違う。違わないけど、その」
「わかってるよ。大丈夫、期待しとくから」

 困る旭の顔は普通なら飽きるほどに見ているけれど、今のところ飽きる気配は一向にない。
 そう強くない私がちょっぴり強くなり、空も飛べそうな気分になるのは、旭がそばにいるからだよ。知らないだろうけど。
 こつんとおでこを合わせ、へらりと笑い合い、思う。これからも旭と私の日々があるなら、それで充分。ね、そうでしょう?

終わらない日々 × 東峰旭

モドル