薄手の上着を羽織り、歩くこと数分。コンビニの自動ドアを抜けて店内をウロウロすると、小袋のチョコレートを持ってレジに向かった。
「あと、ホットコーヒーひとつ」
「はい」
私は人並みにコーヒーが好きなんだと思う。いつも視線の合わない店員さんからカップを受け取るのも何回かもうわからないからだ。レジ横にはクリスマスケーキの予約チラシ。よく利用するコンビニでもこういう些細なことで秋だとか冬だとかそんなことを感じるけれど、さすかに冬を感じるのはまだ少し早いかな。
マシンからコーヒーが落ちるの眺めていると、自動ドアが開いた音がして。ちらっと視線をやれば、少し冷たい風が頬を撫でた。
「お〜!なまえ、また会ったな」
「あら。走ちゃんどーもー」
数ヵ月ぶりに会った走ちゃんはあっけらかんとした表情で、疲れはない。幼馴染み、とまではいけないけれど、高校まで一緒だった彼は顔を合わせれば思い出したように共通の話題がいくつかでてくるくらいの関係だったりもする。
「俺もコーヒー買いにきた」
後ろのポケットから出した財布の中から小銭を出しながらまっすぐレジに向かった走ちゃんを見ていたら、コーヒーが入ったランプが点灯してすぐ、カップを取り出す。豆の香りが鼻をくすぐって、これこれ、と心の中で呟きながら私はまた走ちゃんに視線を送った。
「なまえんとこもテスト近いの?」
「来週。走ちゃんは?実習とか行った?」
「実習は来月から行くよ」
プラスチックのフタを閉めていると、走ちゃんがマシンにカップをセットしてから私の手元をみてそう呟く。
「近所に住んでてもなかなか会わないもんだね」
「たしかに!じゃ、次は約束でもする?」
「あはは、なにそれ」
店内にプラスチックのカップがパチッと閉まる音がしてから、走ちゃんのふざけたように笑った表情を視界に収めると、揃って自動ドアを通った。
「ところでまた背伸びた?」
「あー、伸びたかも」
「……すくすく成長しすぎじゃないですか」
「子供の成長期みたいな言い方するなよ」
けらけら笑いながら結局足を止めて、自動ドアを避けて車止めと店のガラスの間に立つとなんとなく会話が続いていく。最近どーなの、とか。そんなぼんやりとした話をしては沈黙が数秒起きて、また違う話題がでてくる。
「コンビニコーヒーって結構美味しいよね。安いし」
「なまえのそれ、ブラック?」
「……てことは走ちゃんは相変わらずカフェオレなわけだ」
「いや、最近はカフェモカも飲むよ!」
あっさりとしたブラックコーヒーを飲みながらけろっとそう吐く走ちゃんに黙って視線を送ると、頭の上にクエスチョンマークが浮かびだした表情に我慢できずに笑ってしまった。
◎から送って頂いたネタより
20211004