夢うつつ

※佐久早視点


「10分休憩したらサーブ練ー!」

 監督から指示を受けた飯綱さんがそう言うと、体育館の壁に寄りかかって座ったり、水分補給をしたり、それぞれだ。
 今日はマネージャーが一人休みらしく、慌ただしい。
一人一人の負担は必然的に増える。今日だけだし、部員も多いし、まぁ仕方ない。

「ジャグ洗ってきまーす」

 3年のマネージャーに声をかけて俺と古森の近くを通りすぎたみょうじが右手に持ったかごには、空になったスクイズボトルが結構な量あり、左手にはジャグ。水道の方に向かうみょうじの背中を軽い足取りで追いかけたのは古森だ。

「みょうじ〜、手伝うよ!」
「えっ、どっちも軽いから大丈夫だよ。古森は休憩して」
「じゃあ、どっちの方が軽い?」
「どっちかって言えば……ボトル?」
「じゃこっち持つ」

 ……ジャグ持った。なんなんだあいつら。
 みょうじの恥ずかしそうな表情もだけど。古森のあの嬉しそうな顔も、あんなの部活でするもんじゃねぇ。
まぁどうでもいいけど。

 トイレの帰り、体育館に向かって渡り廊下を歩いていると、水道の方から会話が聞こえてきた。しかも甘ったるいやつ。

「休憩しなくていいの?」
「俺、疲れてないし!休憩時間しかみょうじ手伝えないじゃん」

 嘘つけ。さっききついって言ってただろ、お前。飯綱さんが休憩って言ってんだから休憩しろよ。

「古森はよく気がついてくれるよね、いっつも困ってると来てくれる」
「うん。みょうじのことは気にしてるし」
「あはは、2年になってもダメダメだからかなー」

 ひっかかるワード結構あったんだけど。みょうじも全スルーってどういうことだ。もう誰か教えてやれよ。

 チッ

 無意識に舌打ちをして、体育館に入ると、3年のマネージャーに「何イライラしてんの」と言われるが、原因は明白だ。もう休憩が終わるというのに満タンのジャグをぶら下げて体育館に入ってきた古森がみょうじに何か言って俺の方に来た。

「さっき渡り廊下歩いてた?」
「だから何だよ」
「なんか舌打ちしてた気がしてさ〜佐久早じゃねってみょうじと話してた」

 古森とみょうじがあんな会話してなかったら舌打ちしねえけど。じとーっと古森を見ると、古森はみょうじをみてさっきの顔。オンができてんならいいと思ったけど、最近のオフの古森はさすがにどうかと思う。

みょうじが古森の視線に気づき、顔を赤くして目をそらした。
はぁ。もうやめてくれ。目尻を下げた古森の表情が視界に入ると、古森に向かって言う。

「お前らの思ってること、多分みんなわかってんだからな」
「……え?何か言った?聞いてなかった!」

 チッ

 聞けよ。もう言わねーけど。どうでもいいから、さっさと付き合え。
 お前らのせいで支障出たら、ただじゃ置かねぇ。



ネタBOX ▷ 古森 / 2年マネと古森がくっつきそうでくっつかなくて佐久早がイライラしちゃう