私の家はお金持ちである。なので、親から与えられたものは何でも着るし、親からやれといったことは何でもやってきた。なので、今回のお見合いもお父様のためだと思うと、平気で乗り越えられると思った。
「今日はよろしゅう」
お見合いの日、お見合い相手の小紫ワキヤに握手をして縁談が始まった。小紫ワキヤは私よりお金持ちらしく、会って数分だが私から見た小紫ワキヤは相当な自信家だった。そして、ベイブレードというおもちゃでいいのだろうか、も相当強いらしくスペインのレアルサンバットのオーナーらしい。友達やライバルも多いらしく自慢してくる。
「ちょっとお手洗いに行ってきますね」
と言えば、私はお見合い会場の扉を閉め近くにあった椅子へと座る。小紫ワキヤの話を聞いて、私の人生を改めて振り返させられた。私は親のいいつけをしっかりと守り、いい子になってた。だが、私は学校では友達はいたものの、家ではずっと孤独であった。今の私は親のいいなりの寂しい人間だったんだな。と自分でも思い、自然と目頭に涙が溜り、流れていた。
「そないな顔しな。こっちまで悲しゅうなる」
声がして見上げると、ハンカチを片手に持った小紫ワキヤが目の前に立っていた。私はハンカチを受け取り、涙を拭う。小紫ワキヤは私の隣に座ると、抱きしめて頭を撫でてくれる。
「名前、なまえって言うたか涙もろい性格なんやな」
「そんなことないよ。ワキヤ君に会って自分の過去を振り返ったら私、親のいいなりだったんだなー。って思って」
「それ、ほんま。わいやったら無理やった」
「だよね。会ってから数分で分かった」
クスクス。と笑えば、「ようやっとわろた」と言われる。今までの私、無表情だったのかな。私は小学生に表情のことを指摘されたのかと思うと、一気に恥ずかしくなり手で顔を抑える。
「表情コロコロ変わるから、おもろい人やな」
「えっ。そうかな?」
「そや。あんたの表情見てておもろいわ。後、一つ提案があるんやけど」
「え。何?」
「ワイと一緒にこの会場を出て、デートしてくれまへんか」
ワキヤ君に手を差し出される。お母様達がいる会場へは戻らなくていいのだろうか。と思い、会場の方を見つめるれば「そないなの気にせんといて。ワイが後で連絡したる。そやさかい、な」と言われる。多分、この小紫ワキヤは私にとっての救世主になってくれるのかもしれない。私は頷いて、彼の手を取るのだった。
Ash.