(※構造あり)

「だー。もー。分かんねぇよ!この数式!」
「分かりなよ!小学生でしょうが!」

ぐしゃぐしゃと髪を掻きながら、アイガは机にお手上げかのように今座っているファミレスの席の机に突っ伏した。私は溜息を吐いて、アイガの頭を撫でると上目遣いでこちらを見てくる。

「なぁ、なまえ」
「何?」
「なんで、頭良いんだ?」
「誰かさんと違って、勉強してますから」
「けど、結構年の差あるよな」

言い返せなくて、私はぐっ。と堪える。結構年の差はあるけど、それでも習ってきたことだ。馬鹿でもわかる気がするのは私だけなのだろうか。

「それにしてもさー、世界チャピオンになってもまだ勉強しなくちゃいけないのは鬼畜だよな」
「まだ、アイガは小学生なんだから、仕方ないでしょ」
「そりゃそうだけどもさー」

そう。アイガはベイブレードの世界チャンピオンになっても、まだ小学6年生なのだ。今も米駒学園に籍がちゃんと残っている。

「じゃぁ、また始めるよ。次は社会ね」
「みょうじの鬼畜ー」
「はいはい。そう言ってなさい」

私は教科書を開いて、またアイガに教え始めた。


数時間は経っただろう。時計を見ると、夜の8時を回っていて気づいたのがアイガの「やべっ。帰らなきゃ」という一言だった。

「今日は沢山勉強したなー」
「まぁ、今の課題が終われば、次の課題もあるんだけどね」
「そういうこというなって」
「はいはい。あっ」

ファミレスを出て歩道を歩いていると、クリスマスが近いからか辺りはイルミネーションに飾られてた。

「綺麗…」

私はきらきらした眼差しで言えば、手に冷たい感触。隣を見れば、ちょっぴりやきもちを焼いたかのような瞳でアイガはイルミネーションを見ていた。

「なぁ、今日泊まりに行っていいか?」
「え。いいけど、米駒学園は大丈夫なの?」
「大丈夫。学園長には了解得てねぇけど…」
「だめじゃん。米駒学園に帰らないと」
「いいの。今、俺が決めたんだ。ぜってぇ、なまえの家に泊まるんだからな」

言い出したら聞かないのがアイガだ。私は溜息を吐くと、「いいよ」と返事をした。

「やったー。俺、今すごくいけねぇことしてるみてぇ」

その言葉と共に不意に笑ったアイガは再び背を向けて、歩き出した。私もそう思うよ。言いだそうとしたけど、冬の寒さに口が負けて言葉を失う。私はコートをぎゅ。と握りしめながら、アイガの後を追った。

Ash.