Offence is the best defense.
カラカラと頭の中に響くのは、いつだって同じ
それは何面?サイズも種類も色々。
よく視えるのは4面ダイスと10面と20面。
それが頭の中でカラカラ転がっている。
──右に行こうか左にしようか。
ならば振るのは忍び歩きと幸運ロール。
聞き耳を振ったって
頭の中がごちゃごちゃしてる。
私の頭の中は、もうずっと絡んだまんま。
辿り着いた場所には先客が一人──いや、一体。
どういう仕組みなのかもわからない、灰色の機械人形がカタカタと暗号気を解いていた。
だから私は、それを手伝う様に手を出していく。
ゼンマイ式のよく判らない螺子を巻いて、少しでも早く解読を進めていく。
そうしていると、
それと同時に、ゴォンと鈍い音と遠くの方で黄色く浮かぶ、跪いた誰かのシルエット。
──ああ、
ならもっと早く教えてくれれば変わったのに。
なんてことを思いながら、"解読に集中して!"と未だ響く音を遮るように"解読中止、助けに行く!"とチャットを打ち返す。
この仕組みもどうなっているのか判らないけど、使えるから、使えるものは使うのだ。
霧の滲む荘園の中を駆けていく。
カラカラと回るダイスは、もうすっかり見慣れたもので。
同じく
背中を斜め上に斬り裂けば、
その間にも綺麗なサイドテールの空軍服──マーサ・ベハムフィールは、椅子に括りつけられたエミリー・ダイアーを開放して、私の方を振り返る。
そうして強い瞳が、私の事を射抜くのだ。
だから未だにダメージから抜けないハンターの脇をすり抜けて。
ふらつきながらも走り出す医師の背中を守る様に私も走り出せば、ダメージから持ち直したハンターに向けて空軍は信号銃を向けて容赦なく引き金を引いていた。
バゥン、と空気を孕んだ音と共に再度後ろで呻く声を確かに聴いて。
私は、尚もよろける彼女を補助する様に抜刀した
そうして暫く走り切った後、自身に対して治療行為を行う彼女を確認してから、まだ手薄の暗号気を解読しようと踵を返した。
すると、頭の中でダイスの音が。
その判定は──失敗。
「……Thank you」
「…………」
簡単で、判るはずなのに
軽く会釈をした後に、今度こそ次の暗号気を求めて走り出す。
その間にも解読は一つ終わり、あと三つ。
──どうしてこうなったんだっけ。
ごちゃごちゃに絡まる頭でそう考える。
思い出そうとすると、いつも頭が痛くなって記憶を遡れない。
だけどそれはもうずっと昔からそうで、走りやすさの為に納刀した刀を腰にぶら下げて、今度はダイスを振らずに霧がかる荘園を駆けていく。
ガシャガシャと、腰に括りつけた日本刀が酷く重たい。
だけどそれを手放す選択も、手段も、もうずっと前から私にはなくなっていて。
今日も今日とて、
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