獄寺隼人と接触した日の話


星影花莉。今まで生きてきた人生、面倒事はなるべく避けてきた。怖いことも痛いことも嫌いなうら若き女子中学生。そんな私は今、大ピンチに陥っている。

「どーしてくれんだぁ?あぁ?」

「治療費払ってくれよぉ。」

「金出せやおい。」

3人の不良に校舎裏に呼び出され、壁に追い込まれた私は、人生最大のピンチを迎えていた。この3人はこの間委員長に咬み殺された3人だった。逆恨みで一番弱っちぃ私に目をつけたのだろう。大抵の生徒は委員長に咬み殺されれば恐怖で更生するのだが、彼等は失敗したようだ。

『メンタル強いな。』

「あぁ?わけわかんねぇこと言ってんじゃねーぞこら。」

「金出せや風紀委員!」

『私だってお金欲しいですよ!どれだけコキ使われてると思ってるんですか!』

「知るかぁんなもん!」

「体で払ってもいいんだぜ。」

私は胸ぐらを掴まれて、力任せに引き寄せられ思わず、ぐえ、とカエルが潰れたような声を出してしまった。ううん、まぁまぁピンチだなぁ。人を呼ぼうにも誰も通らなさそうだし。

「丸裸にしてあいつんとこ持っていこうぜ!」

「ははは!そりゃいいや!」

『いやあの人私の裸見たところで動揺しませんから!もっといい方法あるでしょ!?頭使いましょうよ!?』

「うるせぇ!お前らやっちまえ!」

えええ、本当に丸裸にされちゃうの。それは社会的に死ぬからやめてえええ。なんて思ってると、私の服に手をかけた1人の不良が、私から引き剥がされ、何者かに殴られた。

「なんだてめー!!」

「うるせえな。目障りなんだよ。」

「あぁ!?」

この場にいる誰よりも不良のようななりをした男子生徒が、ギロリと不良達を睨む。しかし睨まれても怯むような不良達ではない。なんせ委員長に咬み殺されても挫けないのだから。残りの2人が男子生徒に殴りかかったが、秒殺されていた。おかげでわたしは助かった。

『ありがとうございました。』

「…、」

お礼を言ったが、彼から何も返事がなかった。聞こえなかったかな、と思い先ほどよりも大きな声でお礼を伝えた。

『ありがとうー!ございましたー!!』

「るせえな!!!」

『あ、聞こえてました?』

「聞こえてるに決まってんだろ!!無視したんだよ!!」

『え、なんでですか。酷いですよ。』

「雲雀んとこの回し者だろてめー。」

『あー!もしかして委員長にボコボコにされたことある感じですか?』

「なっ、なわけねーだろ!10代目があいつにボコボコにされたんだよ!!」

『じゅうだいめぇ?』

彼の言っていることはよくわからなかったがとりあえずごめんね、と謝っておいた。謝る気ねえだろ!って怒られた。解せぬ。

『じゃあ、じゅうだいめが委員長に咬み殺されたら貴方のこと呼ぶね。名前なんていうの?』

「教えるか!」

彼はカルシウムをとったほうがいい。


そんな獄寺隼人と接触した日の話。



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