委員長が嫉妬する


『ちょちょちょ、待ってください委員長!何怒ってるんですか!?』

「思い出したら腹が立った。」

『脈絡なさすぎて何を言ってるのかさっぱりです!説明求めます!!』

デスクに座っていた委員長が急に立ち上がって、ソファに座っていた私を押し倒してきた。委員長は何故か怒っているようだったが、何に怒っているのかわからない。私は頭の上で両手を固定されてしまっているため動けずにいた。

「君はこの顔だったら誰でもいいわけ?」

『な、何がですか!?未だに理解できないんですけど!?』

「代理戦争の赤いおしゃぶりの彼が元の姿になった時、頬が赤かったけど。」

『赤いおしゃぶり…?…あ、風さんのこと……、』

なるほど、確かに私は風さんの元の姿を見て、見惚れていた。何故なら委員長に顔がそっくりで、本当にかっこよかったからだ。

「自覚があるようだね。」

『え、待っ、待って委員長!』

「待たない。」

彼は私の制服のリボンを外し、プチプチとワイシャツのボタンを外していく。流れ作業と言っていいほど滑らかで素早かった。しかし私も言い訳はさせてほしい。

『委員長!』

「…、」

『きょ、恭弥さん…っ!』

「…何。」

私が名前を呼ぶのはレア中のレアなため効果は抜群だ。彼はピタリと私の制服を脱がすのをやめて、ジロリと私を見る。その顔はむすっとしてて不覚にも可愛いと思ってしまった。

『確かに風さんのお顔に見惚れました。』

「咬み殺そう。」

『最後まで聞いてください!…でもそれは委員長に似てたからです。あの人の顔が委員長の顔じゃなかったらそもそも見惚れることはありません。委員長が大好きだからこそ、見惚れちゃったんです。それに、その、私は委員長じゃなきゃ、嫌です…、今目の前にいる委員長が、好きなんです…、』

「ふぅん。」

『怒らないでください。私は委員…恭弥さんのこと、大好きなんですから…、』

自分でも顔が真っ赤だと自覚している。顔が熱くてたまらない。これで少しは機嫌を直してくれるだろうか。

「これで許すと思う?」

『えええ。今ので許してくれないんですか。』

「君が僕以外の奴に見惚れていたのは事実だろう?もう他に目移りしないように、咬み殺してあげる。」

『ああああ、』

がぶり、と噛まれた首筋は、一週間経っても消えることはなかった。委員長に似た顔の人がいても二度と見ないことをこの時確かに誓ったのだった。



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