委員長に慰められた
銃弾が脇腹を貫通して、血がたくさん出た。熱くて、痛くて、涙がたくさん出た。でも銃を持った人も泣いていた。お前がいるから、誰も幸せになれないんだと、泣き叫んでいた。その直後、その人は沢山のトゲトゲに貫かれていた。痛そうだったけど、どうにもできなかった。私は見ていることしかできなかったんだ。
『痛い。』
「撃たれたんだから当たり前でしょ。」
『委員長もっと労ってくださいよ。』
「無駄口叩くくらい元気だから必要ない。」
病室の窓の外を眺める委員長。撃たれた恋人をもう少し労ってくれてもいいのに。暇だったので足をバタバタさせると撃たれた傷が痛んだ。まだまだ安静にしていないとダメみたいだ。
『委員長、私のせいで誰も幸せになれないんですって。』
「…、」
『生きてるだけで、人から恨まれることなんてあるんですね。』
悲しくないと言ったら嘘だ。彼の言った言葉が鋭く突き刺さったままで、ずっと心臓のあたりが痛くてたまらない。私だって、誰かを不幸にしたいわけじゃないのに。
「幸せになれないことを人のせいにする奴は一生幸せになんかなれないよ。己に勝つことすらできない弱い奴の言い訳に過ぎない。」
『男前ですね。』
「弱者の言い訳に耳を傾けないでいい。君は人を幸せにするために生きてるわけじゃないんだから。」
風が強く吹いて、カーテンが揺れた。ああ、委員長の顔がぼやけて見えない。ゆらゆら揺れて、霞んでしまう。
「君は僕のために生きてればいいよ。」
彼は私に近付き、片手をベッドについて顔を近づけた。柔らかな唇が重なり、胸がぎゅっと締め付けられる。
『横暴。』
「今に始まったことじゃないでしょ。」
彼は私の涙を人差し指で掬うと、ぺろりと舐めた。きっとしょっぱいだろう。
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