2015平子真子SS

『甘えてよ』
私の肩に頭を乗せて、よく甘えてきた貴方。
横目で見える金髪のてっぺんと、鼻筋が大好きだった。
現世に来てからは、甘えられる回数が、格段に減ってしまった気がする。
私たちのリーダーとしての責任感なのか、なんなのか。
強がりなとこも嫌いじゃないけど、今みたいに二人きりのときくらい、甘えてよ。



『息の根止めて』
真っ白に覆われていく顔。泣き声にも似た咆哮が響く。
時計の針と喜助の横顔で、俺が今やるべきことを完全に理解した。
俺、お前の泣き顔大ッ嫌いやねん。
元から不細工なんが、ますます不細工なって。
やから、最後くらいは泣き止ましたるからな。
たった4文字の解号で、世界は転がる。一番残酷な結末に。



『大人になって、それからどうするの』
霊術院を卒業、死神になる、その先の計画は真っ白。
私は、隊長格の器じゃない。
将来の目標と題された紙に、筆は乗らず。
「なーに悩んどんねん、お前の行き着く先なんか、1個しかないわ」
「霊子になって消滅?」
「ちゃうわボケ。平子隊長のお嫁さん」
複数の点で図々しい、けれど不思議と拒めなかった。



『しゃらっぷ、きすみー!』
「真子ー暇ー」
「ハイハイ瀞霊廷通信でも読んどき」
「もう読んだよ今月号」
「そんじゃ、暇しとき」
「えー」
「仕事せなアカンからな」
「真面目な真子、気持ち悪っ」
「ちょ、お前でもしばくで!?」
「暴力反対!!」
「あーもー黙り!!」
「嫌だ!!私を黙らせたかったらキスでもしたら?」
「アホか!!」



『吊り橋効果』
真っ白の背中に浮かぶ、五の文字。
向かってきた虚の爪を、軽々受け止める斬魄刀。
なんで隊長がこんな案件に出向いてきてるの、馬鹿なのこの人。
「怪我、ないかァ?」
いつのまにやら虚を昇華し、振り返る真子。
浦原隊長に、脳は恐怖と恋のドキドキを区別できないと聞いた。
今の気持ちは、きっとそれだ。



『僕の居場所』
現世ではどこにも長居はできへん、尸魂界には帰られへん。
居場所ゆーたら仲間のいる場所だけ。
それも、いつもならアイツがおるはずの空間だけがぽっかり空いとって。
今頃、何しとんのか。
俺がおらんからってピーピー泣いとったらどうしょーか。
結局、俺の居場所はアイツの隣が一番やったと思い知った。



『美しい終わり方』
苦しいのは嫌だ。痛いのも遠慮したい。消え行く理性の片隅で、そんなことを考える。
できるだけ綺麗に死にたい。護廷隊じゃ馬鹿みたいな願いも、今なら叶う。
悲痛な顔と、揺れる金髪を視界に捉えた。
うん、真子なら綺麗に終わらせてくれるね。
咆哮にしかならない声で、最後に叫ぶ。
ありがとう、ごめん。



『来世でもよろしく』
来世というなら、今がそれなんだろうか。
一度死んだと思ったらよくわからない街にいて、なんか死神になって、刀振り回してる。
目の前でひらひらする金髪は夢みたいに綺麗で、ますます非現実。
今また死んだら、どうなってしまうんだろう?
そんなことはわからないけれど、またこの金髪と一緒ならいいな。



『憎ませてもくれない』
言い渡されたのは、見つかり次第虚として処刑、という残酷極まりない命令で。
勝手に私の前から消えて、挙げ句にこんなの。
本当にいなくなっただけなら、憎むのも簡単だったのに、貴方は私に、それさえも許してくれないのだ。
待っててよ、必ず見つけてあげるから。
そして、百年恨み言を言ってやるんだ。



『色気のない誘い文句』
アイツはなぜか、俺にくすぐられるのが好きらしい。
笑っとるうちはエエけど、そりゃまあアレな声も出るわけで。
そんな状態でもっと、とか言われて、今まで色々せんかった俺は、正直かなり偉いやろ?
そんな訳でしゃーなし今日も、くすぐってよーという意味のわからん"誘い文句"に乗ったるとしますか。

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