n連勤目の路地裏にて 何連勤目なのか、忘れた。 どうせいつもどおり、どこかの日を公休扱いにされて、超過勤務手当もろくに出されやしないに違いないので、数えるだけ虚しい。 疲労を抱えて眠り、それを解消できないまま目覚めては起き上がれず、このままずっと眠っていたいと思う毎日。 悪化するばかりの貧血に意識をもっていかれそうになって、せめて往来のド真ん中で倒れるのだけは避けようと、脇道に向かって。 その選択が間違いだったと、いま思ったところ。気づけば目の前に、随分とガラの悪い姿の男性が居て、へたりこんだ私を見ている。 このへんって治安が良くない区域だったっけ、どうだっけ。それも忘れた。 「おい」 呼び掛けへ返事をするかどうか迷う以前に、水分補給できていない喉が張り付いて、まったく声が出ない。 「聞こえてるか? おい」 朦朧とする頭が勝手に揺れるせいで、相手の顔がよく見えない。 「酔っ払いじゃァなさそうだが、此処で寝るのは勧めねぇぞ」 「……ぁい」 どうにか発した覇気のない言葉に、一歩、気配が近づく。 その動作だけでいくつも鳴った金属音は、服についた金具なんかが発生源なんだろうか。 やっぱり、ガラ悪い。こういう人が、今の状況で、知り合いでもない、女としての魅力もない私みたいな人間に近寄る理由なんて、ひとつしか思い当たらない。 「………………い」 「あ?」 「きゅーりょーび、前、なので、か、カツアゲは勘弁してくださいぃぃ………」 「――――あ゛ァ゛!?」 どうしようもなくガラの悪い驚愕の叫びが聞こえて――――耳鳴りと、点滅する街灯の光ごと、聴覚も視角も、ぶっつり消えた。 |