人間を物扱いしてはいけないって言うけど、俺の彼女はとても地味で性格が悪いです。
女子にしては陰険ではないし、普通の女子とは少し変わっている。沢山性格を持っているし、人の扱いをよく分かっている。世間一般ではそれを多重人格だなんていうんだろうけど、俺はそれにさえも魅力を感じた。
「ねえ、名前ちゃん」
「成宮君、もうすぐ授業始まっちゃうけど帰らなくて大丈夫?」
俺には比較的優しい名前ちゃん。だけど、他の女子には少し辛口だっていうことを知っている。
他の男子にもさまざまな対応を取るからそれってもしかして俺に好意を寄せてる?なんて勘違いもしちゃう馬鹿も沢山居る。けど残念。名前ちゃんが好意を持っているのは俺だけ。一昨日きやがれー、なんていう言葉を使うのは、こういう時だって学んだ。
名前ちゃんは、もうと仕方無いように呆れた素振りをしたけど、それとは裏腹に顔は嬉しそうだった。だってそうだよね。俺達が学校で話せる時間なんか限られてるし。
そんな俺達を引き離すのは、惜しくもチームメイトのカルロスだけど、名前ちゃんに迷惑を掛けるのなんてしたくないから今日もおとなしく引き下がる。
お前らは子供カップルなのかそうじゃないのかよく分からないよな、なんてカルロに言われて腹が立ったけど。
カルロが言うには、彼女が白河やカルロに対する対応なんて全く違うから、それからすれば、俺はお子様扱いされてると言った。…なんか気に食わない。同い年の癖に。
カルロと話す名前ちゃんは、少し大人な雰囲気をしているし、白河と話す時は変人を演じている。
じゃあどれが彼女の本性なんだって言われたら、俺だって分からない。でも、名前ちゃんから向けられる愛情は俺だけ。だから、俺は、俺の前にだけ見せてくれるあの性格が本性なんだって思っている。
「性格を一定にしろなんて言わないよ、だって俺にだけ本性を見せてくれる名前ちゃんが居たらそれでいいんだから、羨ましいでしょ、カルロ?」
「お前の惚気の定義はよく分からない」
「うん、いいよ、俺にしか分からなくていいんだ。名前ちゃんの良い所なんて他人に教えたくないし」
「お前がそんなんだから子供だって言われるんだよ。少しはアイツを見習え」
「カルロは名前ちゃんが大人だって思ってるんだ?」
「誰かさんとは違ってな」
「心外だなぁ」
「またそんな単語使いやがって…意味もきちんと理解してないのに、恥かくぞ」
カルロは、名前ちゃんの本性があの大人っぽい性格だと思っているからそう思うんだ。けど、俺にだけ見せるあの表情を見れば、きっとカルロだって似たもの同志だって言うだろう。だから、二人きり以外に俺が名前ちゃんと話すことなんて無いんだけど。
だって勿体無いでしょ?誰にも見せない俺だけの性格の悪い可愛い彼女。
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