苦手な味
※短編eachでの2人のお話です
「おばちゃん〜!栗羊羹ふたつ…あ!あとこのマカロンもいくつかもらえます?」
「はいよ〜、いつもありがとね!今日は沢山買っていくんだね、お客さんでも来るのかい?」
「うん!息子の友達がちょっとね!」
「そうかいそうかい!はいお釣りね〜」
今日はちょっとしたお客さん、っても遊びに来る訳じゃないんだけど。
近い内に木の葉の里で開催される五大国合同中忍試験の話を今日、我愛羅が直接シンキ、ヨドちゃん、アラヤ君にするらしく、風影邸に来るという。
折角ならお菓子でも出そうかなと思い、いつも自分で食べるお菓子、主に羊羹を買っているこの店に来た。
羊羹だけでも良かったがヨドちゃんがマカロンが好きというのを以前聞いたこともあり一緒に購入。
お釣りとお菓子を受け取り、ありがとうと礼を言いながら風影邸、兼自宅へ向かう。
前まで来たところで、これからウチに来る張本人達が現れ一緒に風影の執務室まで行き、私は一旦自宅のキッチンへ。
買ってきた羊羹とマカロンを皿に移しお茶を人数分用意。
「我愛羅と、カンクロウさん、シンキにヨドちゃんにアラヤくん…お茶5つ〜っと、」
全てをお盆に乗せ、そそくさと執務室へ向かい、お茶ですよ〜と間延びした声をかけると真っ先にカンクロウさんが、気ぃきくじゃんと、お盆に乗ったままのお茶を一つ取る。
「はーい、みんなもどうぞ、お菓子も食べてね〜」
「うっす!」
相変わらず元気の良い返事をくれるアラヤ君とシャカシャカと音楽を聴いて返事こそくれないが即座にマカロンを手に取るヨドちゃん。
ほんとに好きなんだね。うんうん。
我愛羅も、すまないな。と言いつつ、話を本題へ戻したので私はごゆっくりと言い残し執務室を後にした。
……
しばらく経ってから、我愛羅が空になったグラスと残った羊羹が乗ったお盆を持って自室へやってきた。
「あ、終わったの?呼んでくれたらソレ、片付けたのに」
「俺にも片付けくらいできる」
「…そお?ありがとっ」
片付けくらいできる、と言いながらお盆を持ったままジッと固まってるので、あとは私が片付けるからいいよとお盆を受け取る。
残った羊羹食べよ〜と呟きながら、羊羹が乗ったお皿だけテーブルに置き、あとは流し台へ。
ついでに自分用のお茶を一つ用意しながら、立ち止まったままの我愛羅へお茶いる?と声をかけると、ああ。と返事をしてきたのでもう一つ用意。
「はい、お茶。今日はまた仕事に戻るの?」
「…いや、今日はもう終わりだ」
「え!やったあ〜!シンキは?」
「シンキは外で中忍試験に向けて修行だそうだ」
「そっか、じゃあ晩御飯の用意ができたら呼びに行こう、っと、その前に羊羹〜っ」
話をしながらお互い向かってテーブルに着くと私は羊羹をひとくち、口へ運ぶ。大きめの栗が入った羊羹は甘さ控えめ。
おいし〜と自然と顔が綻んで幸せな気分に浸っていると、テーブルの向かいからくる我愛羅の視線に気づき、ん?とこちらも視線を合わせた。
「…名前は羊羹が好きだな」
「ふふ、我愛羅は好きじゃなかったよね?こんなに美味しいのにな〜」
「甘すぎるんだ」
「そんな事ないよ、私だって甘さ控えめが好きだし。食べてみたらいいのに」
ほら、とひとくちサイズに切った羊羹を我愛羅の前へ差し出すと、顔を背け拒否されるので、なんでこの美味しさが分からないのかなあ。なんて呟きながら、差し出した羊羹を自分の方へ戻そうとすると、突然手を掴まれた。
「っ、?どしたの、」
「…羊羹は、食わず嫌いでな」
「、なに、食べてみる気になったの?」
手を掴まれたまま、真っ直ぐこちらを見ながら話す我愛羅に少し慌てながら、羊羹食べたいの?と再度聞いてみるが返事が無く、相変わらずこちらを見つめてくるので、思わず視線を逸らしてしまう。
「…あの、えと、は、恥ずかしい…んだけど…そろそろ手、離してくれない、?」
「……羊羹、いただくとしよう」
「え、?………!んっ、」
突然、羊羹いただくという言葉に驚いたのも束の間で。
私の手を掴んだままグイ、と我愛羅の方へ引き寄せられ、テーブル越しにキスをされる。
いきなりの事に反応が追いつかず、慌てている私に気分を良くしたのか、我愛羅自身も、私の手を掴んでいない方の手をテーブルにつき、前のめりになって、より深くキスをしてくる。
「ん、っふ…んん」
「、っ」
いつも忙しく、普段からあまりこういう事をしていなかった所為で、少しのキスでクラクラしてくる。
我愛羅に掴まれている羊羹を持った手から力が抜けそうになり、掴まれていない方の手で必死に我愛羅の肩を叩きストップの合図をするとようやく解放された。
「、き、急に…びっくりしたじゃない、羊羹貰うって言ったのに、」
「……貰ったさ。」
「え、?」
貰った、って羊羹食べてないよね?なに?どういうこと?と、離され宙を舞ったままの羊羹を持った手を見ながらハテナマークが見えそうなくらい疑問の表情を浮かべていると我愛羅が自分の口に指を当てながらフ、と笑う。
「…やはり甘いな、羊羹は」
「!!」
ちょっ、!私の!口の中で甘さ確認したってこと?!と、やっと意味が分かった私は突如顔が赤くなるのを感じ思わず俯く。
もう!急に意地悪くなるんだから!今絶対凄い顔赤いじゃん私!恥ずかしすぎる!
「名前、顔を上げてくれ」
「〜、」
私とは違い落ち着いて話す我愛羅をチラリと見るといつもと変わらない風で。
なんでそんなに落ち着いてあんな事できる、ってか言えるのかな。やはり甘いな、だなんて。
どこで覚えてくるんだそんなセリフ。
もお〜と膨れながらも、平然としている我愛羅を見ているとなんだかおかしくなってきて、次は仕返ししてやるから!と冗談を投げかけると、名前の仕返しなら歓迎だ、と優しく微笑みながら返されたので、つられて私も笑った。
こんな日も悪くない。
おわり
こあみ様リクエストで大人我愛羅との甘いお話でした!
短編にあるeachの2人でのお話でした。
甘くできたかは分かりませんが…。精進します…!
リクエストありがとうございました!