影を縛る

※ポケモン連載の閑話です
 (現在ポケ連載は掲載しておりません)

演習場からの帰り道、カカシさんとシカマル君と、これから夕食を取る為に木の葉の里を歩く。
空はオレンジ色に染まり建物が夕日に照らされてキラキラと光っている。
いろんな地方を旅してきた私だけど、この世界は特に綺麗だ。

でもこれから私、どうなるんだろうなんて考えても仕方のない事を頭の片隅で思いながら、建物と同じようにオレンジ色に輝いているカカシさんとシカマル君の背中を追う。
考え事をしていたせいで私が二人に少し遅れを取っていることに気づいたシカマル君が振り返ってくれ、ちゃんと付いて来いよ、とぶっきらぼうにだが気遣ってくれる。

すみません、と言いながら少し小走りで二人との距離を詰めるとシカマル君はフッと笑ってくれた。
そういえばカカシさんは雷の性質があるって綱手さん言ってたけど、シカマル君は何なんだろう。

カカシさんと同じかな、それともまた違う何かなのかな、と気になり出したら止まらない思考を巡らせまた考え込んでいると今度はカカシさんに声をかけられた。


「なーに、どうしたの」

「え、あ、ちょっと気になった事があって」

「んー?」

「あ、あの、カカシさんは雷の性質を持ってるって、綱手さん仰ってましたけど、シカマル君は何なのかなあ、って」


それだけなんですけど、と言うとカカシさんとシカマル君は立ち止まり私の顔を見るもんだから、なんかいけない事聞いちゃったかななんて思ってしまった。

「あ、すみません、気になったら止まらない性分でして、」

「いや、シカマルは性質と言うか、先祖から代々伝わる特殊な技の持ち主だからね。どう言えばいいか、」

「お、そうなんですか!なんか凄いですね!」

「めんどくせー事言わないでくださいよカカシ先生」


はあ、とため息をつきながら頭を掻くシカマル君にカカシ先生は笑いながらごめんごめんと謝っているが本気で謝っているようには見えなくて、思わず笑った。


「ま、可愛い女の子が気になってるって言うんだ。シカマル、見せてやったら?明日の手合わせの予習って事で」

「え!良いんですかシカマル君!」

「はあ?なんで俺がそんな事、明日手合わせすんのは俺じゃねーし予習ったって関係ねーだろ。なんだよ予習って」

「…あ、ダ、ダメなら良いんです、全然、」


カカシ先生が言ったことに、めんどくせーし関係ねーからと拒否の姿勢を見せてくるので、一瞬でも喜んだ気持ちが一気に降下し申し訳ない気持ちに一変したが、私のその様子を見たシカマル君が少し驚いた表情をし、さっきみたいに頭を掻きながら、しゃーねえな。と呟いた。


「え、」

「ちょっとだけだぞ、腹も減ったしな」

「わあ!ありがとうございますシカマル君!」






……







「…と、言うわけだ。今からお前に術をかけて見せるからよ」

「へえ…!凄い!シカマル君は影使いと言うことなんですね!」


あれから、道端では他の一般人に見られるし、それはイケ好かねえからと、近くにあった路地裏を通って誰も居ない広場へと来てシカマル君の能力を聞いた。
影を自在に操って、相手の動きを封じたり操った影で相手の首を絞め殺したりできると言う。
…なんか恐ろしいな。


「あ、でも影で縛るって事なら私のポケモンで同じような技を使える子がいます」

「ふーん、ポケモンもいろんなタイプがいるとはさっき聞いたけど、影使いまでいるとはね」

「影使いって言うと大げさですけど、その子だけが使える影縫いって技があるんです」


さっき紹介してくれたポケモンの中にいるの?とカカシさんに聞かれ、居ますよと答えながら一つのモンスタボールを出し、ジュナイパーに出てきてもらう。


「こいつが、」

「クールな装いして影使いなんて、なんだかシカマルに似てるねえ」

「やめてくださいよカカシ先生、」


ニコニコとシカマル君にチャチャを入れるカカシさんがジュナイパーを見やり、じゃあシカマルとその子で一発勝負でもしてみれば良いんじゃない?と言うと、ジュナイパーが低く鳴きシカマル君を見据えた。
え、なにその展開、そしてジュナイパーはなんでそんなヤル気なのよ。


「お、やる気みたいだね。シカマルの影はなかなかやるよ」

「影は、って…、まあめんどくせーけど、おもしれえじゃん」


私以外の二人+一匹はどうやら戦闘モードらしく、シカマル君は少し距離を置くため飛び上がって後退した。
なんだかついていけてない私を差し置いて飛び上がったシカマル君をジッと見つめ私の指示を待つジュナイパーと言い出しっぺのカカシさんを交互に見ていると、カカシさんは見えている片目を弓なりにしニコニコとしながら一発見せてよと言ってくる。


「…わ、わかりました。なんかよく分からない展開だけど…、シカマル君!行きます!」

「ああ、お手やわらかに頼むぜ」

「シカマル君こそ!」

「じゃあ、始め」


カカシさんが開始の合図を言った瞬間、シカマル君は胸の前で印を組んだ。
影をどう言う風に操るのか私には予想もつかない。ちょっと様子見か、とジュナイパーの後ろで様子を伺っていると、シカマル君の影が伸びた。


「…影が、!ジュナイパー!あれに捕まったらダメだよ!影をよく見て避けて!」

「ジュッ!」

「逃がすかよ、!」


まっすぐだけでなくウネウネと右往左往してくる影をうまい事避けるジュナイパーだが、ずっと避け続けるだけでもダメだ。
攻めているだけに見せかけてどこかへ誘い込んで、なんて事もあるかもしれない。シカマル君がどういう人かなんてよく知らないけど、忍者なら二手三手先を考えて動いている人が大半だろうと思い、それならこっちは先手必勝で仕掛けてやろうとジュナイパーに声をかけた。


「ジュナイパー!避けながら一気に距離を置いて!影縫い!」

「ジュッパア、!」

「?!」


私が指示を出してすぐ、ジュナイパーは高く飛び上がり自らの羽を矢としシカマル君めがけて放つ。
目にも留まらぬ速さというほどの高速で放った矢はシカマル君の影に命中し、矢が刺さった影の持ち主であるシカマル君はダメージを受け、そのまま動きを封じられた。


「っく…、んだよ、コレ」

「動けませんよ、シカマル君」

「…はーい、そこまで。いや〜シカマル、一本取られたね」


シカマル君が影縫いで動けなくなったところで、伸ばしていた影はどんどん縮んでいき、ジュナイパーの矢が刺さったところまで短くなった。

矢を放った後、空中を飛んだままでいたジュナイパーが私とシカマル君の間に降りて来たので、ありがとうと言いながらボールに戻しす。
クルゥ、と鳴きながらジュナイパーが戻っていくとシカマル君の影を刺していた矢が消えた。


「シカマル君、す、すみません。大丈夫ですか」

「ああ、参ったぜ。作戦立ててたのによ、その前に先手打たれちまったな」

「あ、私いつも猪突猛進というか、突っ走っちゃうので…ははは」


身動きが取れるようになったシカマル君の方まで行くとカカシさんも近寄ってきて、シカマル相手に良くやったねと頭を撫でられ少し照れた。
シカマル君、ジュナイパーの影縫いを受けても全然平気そう。凄いな。


「じゃ、予習もいい結果という事で。夕飯行きますかあ」

「…ったく。カカシ先生、奢ってくださいよ」

「…ま、今回だけね。ほら名前ちゃんも行くよ〜」

「あ、待ってください二人とも!」


さっきのバトルが明日の予習になったのかは分からないが、多分カカシさんの興味本位みたいなものだったんだろう。
明日はどんな忍者と手合わせする事になるのか。楽しみだなあ、なんて考えながら何食べるかねえ、と話しているカカシさんとシカマル君の背中を追った。



おわり

くま様リクエストでポケモン連載の番外編でした!
ポケモンのリクエストなんて初めていただいたので、ポケモン好きな方が居たんだ!と歓喜しました〜!
番外編という事でサクッと戦わせてみただけのお話になりご希望に添えたかは分かりませんが…!
リクエストありがとうございましたー!