内緒だよ
※ポケモン連載の閑話です
(現在ポケ連載は撤去しております)
「…思ったより早く片付いたな」
闇に静まり返る森の中、木々を飛び移りながら帰路につく。
森の中にアジトをひっそりと構えた盗賊を捕える任務だったが、俺が行く程でも無かったんじゃないのというくらいの輩たちばかりで案外早く終わった。
それでも連日続く任務で流石に疲れ、今はとりあえず早く寝たいと、任務に同行していた忍に後を任せ里に戻っている途中だ。
「…ん?」
そろそろ里が見えてくるといった所で、何やら見覚えがある生き物。
あれは確かあの子と一緒にいた…
ライチュウ、とか呼んでたな。一体こんなところで何をしてるんだ。
キョロキョロと何かを探しているような風貌に、あの子と一緒に里を抜け出して逸れでもしたのか?
いや、あの子が今里を抜け出すなんてメリットが無い。今夜誰か泊めてくれませんかとまで言っていたのに抜け出すなんて考えられない。
「…まったく、何考えてんだか」
木の上からしばらく様子を見た後、とりあえず保護だなとライチュウとやらのところまで降りる。
「なーにしてんの」
「ッラーイ!」
「!、おっ、と」
木から降りてすぐ声をかけると突然飛びかかってきた。
殺気は感じられなかったので飛びついてきたネズミを受け止めると少し身体が痺れた気がした。
…興奮したら電気を発するのか、?こりゃどーも。
「お前さん、主人はどーしたの」
「ラーイ、ライ、チュウ」
首を横に振りながら何かを言っているが、言葉が通じないので何を言っているのかは分からない。
でも多分、一人でここまで来たと言っているんだろうと思い、ライチュウが居た場所を見てみると何やら木ノ実が沢山落ちている。
「お前もしかして、コレを主人に?」
「ラーイ!」
抱えていたライチュウを一旦降ろし、落ちている木ノ実をひとつ取ってライチュウに見せながら聞くと、嬉しそうな表情で声をあげた。
しかしなんでまた一人で、しかもこんな時間に木ノ実探しなんかしてんのよ。とでも言いたいところだったが、言葉は通じないし、この子にも何か思う事があっての事なんだろうと、問い詰めるのはやめた。
「ま、結構集まってるみたいだし、もう帰るよ。主人が目覚ましてお前が居ない事に気づいたら心配するでしょ」
「ライ!チュー!」
まるで模範回答のような元気溢れる返事をするライチュウに、ニコっと笑いかけ落ちている木ノ実を全部ポーチへと入れた。
さ、行くぞ〜と出発の合図を出し歩き出す。もうすぐ里だし、このままゆっくり歩いて帰りますか、なんて俺の足元にいるネズミに向かって独り言のように呟いた。
が、途端に殺気を感じて即座に身構える。
「イチ、ニ…、二人か。さっきの盗賊か?まだ残ってたとはな、」
「チュウ?」
「…まだ仕事が残ってたみたいだ、すぐ終わらせるからそこ動かないでよ」
ま、俺の言ってる事なんて理解できてないだろうけど、と、身振り手振りでそこで待ってろと表現してみせ、
そのままライチュウの反応も見ずに殺気が来ている方向へと飛び上がった。
「テメェ!写輪眼のはたけカカシだな?!俺たちの部下、返してもらうぜ!」
「…まさか残ってたなんてね、お前たちの部下とやらは他の忍が連行してる。俺は連れてないんだよ、残念だったな」
「うるせェェエエ!ムカつくんだよテメェはよォォ!連れてねえんだったら殺してやるよ!!」
雄叫びに近い声をあげながら残党である二人が一気にこちらへと飛んでくるのを難なく交わす。
なんとまあ、よく吠えるやつだが、部下と言われたさっきの奴らよりは多少できそうだ。
俺もそんなに体力が残っていないからと一気にカタをつける為攻めの体制に入るが、相手から仕掛けられる攻撃をかわしきれず一本のクナイが頬を掠めた。
こんなのかすり傷だ。どうって事ないと思い、クナイを素早く投げ揺動、できた隙に殴りかかって終いだ、と考えたが不意に視界が揺らぎ思わず飛び乗った木の上で膝をついた。
「…っ、まさか、仕込みクナイだった、か?」
「その通りだはたけカカシィ!どうだ、俺たちが作りあげた毒の味は!強い目眩で立てもせんだろう!」
…俺も落ちぶれたもんだな、こんな仕込みクナイに動けなくなるなんてな、さてどうしたものか。
霞んで来た目をこらしながら、こちらへと近づいて来る残党二人を見据えていると、二人同時に刀を取り出し振りかぶって来た。
「ここまでだ、はたけカカシィィイイイイイ!!!」
「死ねェェエエエエ!!!」
「…く、!」
こんなところで、!ここまでなのか…!
振りかぶり俺の体を切り裂こうとする残党共の刀をなんとか避けようと入らない力を身体に込めようとすると、
突如片方の肩に重さを感じたと思った、瞬間、
「ラーーーーイ!!ヂュゥゥゥウウウウウウ!!!!」
辺りが強く光り、真っ白になった。
これは、雷、?!と思ったのも束の間、目の前にはさっきまで主人の為に木ノ実を集めていたライチュウが俺を守るように身構えていて、その前には全身が黒く焦げたあの残党二人が倒れていた。
…え、死んじゃってない?
……
「ほんと、待ってろって言ったのにねえ。ま、助かったから良しとするか」
「ライラーイ!」
「ははは、ありがとうね」
ライチュウが残党共に雷を浴びせてからすぐ、突然雷が落ちたと、さっきまで一緒に任務に当たっていた忍が駆けつけ、命に別条はなかったものの瀕死の状態だった残党は連行された。
一緒に来ていた医療忍者によって俺は応急処置を施され今度こその帰路についている。
さっきまで暗い藍色で染まっていた空は少し白んで来ていて、もうすぐ淡いオレンジ色が顔を出すだろう。
それにしてもポケモンの強さは未知数だな、あれほどまでの雷を出せるとは。
そんな事を考えながら相変わらずの調子で横を歩くライチュウをチラリと見れば、視線に気づいたのかこちらを振り返り笑顔で両手を上げ何かを言った。
「あ、今日の事、主人には内緒ね。君に助けてもらったなんてちょっと恥ずかしいから」
「ライチュ?」
「はは、……ま、いっか」
おわり
龍太(♀)様リクエストでカカシ先生とライチュウの絡みでした!
リクエストいただいてからすぐ、カカシ先生をライチュウに助けさせよう!と思い勢いで書きました。
ライチュウには主人が寝ている間に色々と物を集めてきて欲しいです。
ヒロインもちょっと出したかったんですが結局出ず仕舞いですみません_(:3」z)_
リクエストありがとうございました〜!