「どうした? 声にならない悲鳴を上げて」
「つる」
「うん?」
「ミュージカル刀剣乱舞」
「うん」
「鶴丸国永の名前ある……」
「そうだなあ」
「夢じゃない?」
「俺にも見えてるぜ」
「夢じゃない……」
「昨日の今日でこれだもんなあ、驚きだよな」
「ひえ……推しオンステージだよ……助けて……」
「良かったなあ、ひな」
「良かったどころの話じゃないよ……どうしよう……プレミアム会員登録する? え、でもキャリアかクレカ決済しかない、どうしよう」
「そこで金をかける方向に走るあたり、ひならしいよな。チケットの競争率、驚くほど高いんだろう? まずきみは休みが取れるのか?」
「チケット取れたら取る。土下座してでも取る。何が何でも鶴丸国永を見に行く。もし駄目なら仕事辞める」
「相当だな! しかし、面倒臭がりのきみがチケット戦争に参加するとは思えないんだが……」
「わかる」
「いや、分かるなよ」
「……うっ……つるすき……」
「そういえば、最近のきみ、ミュージカルの三日月に浮気してただろう」
「……!? し、してないよ!」
「……本当か?」
「確かにミュージカルの三日月宗近は三日月宗近への苦手意識を払拭してくれたきっかけだし、めちゃくちゃ好きだけどしてないよ! 私は鶴丸国永が一番すきだよ! 鶴が一番だよ!」
「浮気性の妻を持つと苦労するなあ……」
「まさか……このタイミングでのキャスト発表は……」
「余所見なんてさせないぜ?」
「……」
「……ひな?」
「……すき……」
「うんうん、俺の方がずーっと好きだぜ」