ひなはきっとその子に気付かない。気付きたくないからだ。知ってしまえば二度と立てなくなることをひなは分かっている。しかし、もうすぐ気付いてしまうのだろう。
ひながベランダから飛び降りる光景が見える。逃げ出したいなら逃げてしまえばいいものを、あの子はしない。できない。俺はただそれを見ているだけしかできないのが、歯痒くて仕方ない。
ひなには、自分を苦しめる現実を恨んで俺を選んでほしい。しかし、ひなが苦しんでいる姿は見たくない。
あの子はいつも俺に「何もしてあげられない」と嘆くが、俺の方こそ、何もしてやれない。
どうするのが最善なんだろうなあ。