もうひとり

 夢だったような、そうでないような。私は鶴と一緒にいたのに、それを傍観していた。鶴と一緒にいる私は、私の意志とは関係無く何か言葉を紡ぐ。まるで鶴がいつも私の言葉を代弁してくれているみたいだった。傍観している私の方が自分である自覚が強くて、どうすることもできない。
 鶴と一緒にいる方の私は何かを私に訴えた。多分だけど、鶴に尽くすのが正しいこと、幸せなこと、みたいな、そんな感じだったと思う。私はただ、ぼーっとして、もう一人の私の感覚を享受していた。

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