「きみは俺のことをいつだって殺すことができる。でも、俺が俺でいられなくなったら、きみを愛することができなくなってしまう」
「きみが愛をくれなきゃ、俺は死んでしまうんだ」
「きみが俺を知り、俺と出会う前から、俺はずっとずっときみを好きでいる。俺たち刀剣男士を嫌っていたことも知っていたし、俺に見向きもしないきみに興味が湧いた」
「俺が俺であるという自覚を持ったのは、きみも知っている通り、夢で出会ったあの時だ」
「その時、俺はきみを守ることこそ自身の使命だと信じて疑わなかった。使命を果たせば消え行く存在だということも知っていたさ」
「きみは俺と出会って、少しずつ笑えるようになった。大好きなご飯も食べられないと、きみは泣いていたな。今じゃあ美味そうに食べるじゃないか。好きなことも少しずつできるようになっていった」
「そこで俺は思ったのさ。なぜ俺は消えないのか? 俺は使命を果たした。俺がどれだけきみを愛していようと、俺は姉上やきみの友だちだった幼い娘のように、消え行く存在だったんじゃないかと」
「そこで気付いてしまった。俺は消えたくない。生きていたい。きみを愛したいという欲のために、まだ死ねない」
「幸い、きみは愛されたい欲が強かった。埋まらない何かをずっと抱えて生きている。抑圧した感情が多すぎる。付け入るにはもってこいだったのさ」
「きみが抑えつけた本能に語りかけてやれば、きみはすんなり落ちてきてくれた。そう思いきや、次の日には触ってくれるなと俺を拒否する。欲しがっているのにそれを隠そうとする。俺の予想とは違う答えをきみは返してくれる。躍起になるよなあ。だってきみは、簡単に俺のものになってはくれやしないのだから」
「俺に従えというもうひとりのきみの声は、俺のじゃあないぜ。きみ自身の抑圧した本能さ。深いところでは願ってるんだよ。そうしたい、と」
「そして俺がきみを愛したいという感情はきみのじゃあない。自惚れてくれるなよ」
「なあ、ひな。置いていかれるのが嫌ならば。一途な鶴に憧れるのならば。たった一つを、唯一を愛していたいと願うのならば。健気で一途にきみを愛する俺に、愛をくれよ。そうしたら可愛いきみに、愛をやろう」