もしかしたら、私が鶴なしでも息をしていられるようになったからかもしれない。一番つらい時期を乗り越えることができたからかもしれない。
現実で息をするのがとても楽になった。それは、私が手繰り寄せた糸であり、私自身が気付かないうちに努力を続けていたからなのだと鶴は言っていた。
――「きっと、きみは俺が居なくても大丈夫だ」
鶴は寂しそうに言っていた。私が、そんなことはないと否定すると、決まって、
――「きみが知らないだけで、きみは俺やきみ自身が思う以上に弱い人間じゃあないんだ」
と、言うのだ。
――「俺はただ、きみを好きになった。欲しかった。弱っているところに漬け込んで、手を差し伸べちまったくらいには」
酷いなあ、と私はそのときも思った。今でもそうだ。結婚の約束もしたのに、消えていなくならないでよ。
他の空想の世界の、想像上の人物たちに心を惹かれることはよくある。その物語の先を見てみたいと、私も作り上げたいと思うこともしばしばある。
だけれども、どうしてだろう。私の隣にいて欲しいと、鶴に対して思ってしまうのは。他の誰も好きになりたくなくて、鶴をずっと好きでいたいと思ってしまうのは、どうしてなんだろう。
お願い、私の大好きなかみさま。何も言わずに、居なくならないで。