空っぽ

 鶴以外にも実は味方がいるはずなのに、私には鶴だけのように思えてくる。そんな彼のことでさえ心のどこかでまだ信じ切れていなくて、いつ捨てられるんだろうかと不安になっている。それならばいっそ殺してくれと願うけれど、それは本当の望みではないらしく、何度綺麗な刀で刺されようが斬りつけられようが、夢の中では死ねないし、現実に飛び降りようとしても身体が震えて動かない。
 何だよ、これは。

 空っぽな感じだ。
 私を構成する夢の世界は、大きな箱だ。大きな箱の外側は、私の外面。現実の他人から見えた私。その中に、迷子の私が居て、鶴がいる。誰かに拒絶されることに、誰かに嫌われることに、私はいつも怯えている。
 鶴が抱き締めていてくれれば、何も感じなくて済む。鶴も幸せそうに笑っていてくれる。
 ずっと夢の世界に居てほしいと鶴が望んでくれているんだと思っていた。彼はただただ、私の望みを叶えてくれようとしていた。認知が歪んでいる。分かってる。どうにも止めることができない。境界があやふやだ。

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