そういうところ

 総務からの指示で、私は会社見学の子たちの相手を私がすることになった。
 やってきたのは、私の出身大学の子が二人と、県外大学の子が一人だ。最初の四十五分は総務の人事課長が相手をしてくれていたけれど、それからは放置されていた。二時間経ったあとにお呼びがかからないので、おかしいと思って総務部に向かったら、管理職不在でたまたまいらっしゃった頭取と受付嬢が助けてくれた。
 大方予想はできていたけれど、話を聞いていると、会社を知りたいというより、就職活動としてどう動いたらいいか分からないからとりあえず会社見学に来た、という感じだった。私も同じような状況だったからよく分かる。だから、会社のことはもちろん、就職活動をして学んだことを中心に話をした。念の為持っていった当時の就活ノートが役に立った。
「会社の仕事適正と自分が合うかどうか、って大きいところだなあって」
「仕事適正は合っても、きみみたいに心が病んではどうしようもないだろう」
 私の言葉に、鶴はため息を吐いた。
「でも、役に立ったと思わない? 私のノート。いろいろ書いてるのとか、メモとか。残しといて良かったなあって」
 私は言うと、鶴は笑って、
「元々が勉強熱心で真面目だからなあ、きみは。真面目すぎるのは良くないが、長所でもある」
と、言った。
「俺はそういう頑張り屋なところに惚れたんだぜ」
 鶴は優しい顔で言った。なんだかいろいろ気持ちが込み上げてきて、私は「すき……」としか言えなかった。

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