今度は修学旅行の話だ。でも、それにしてはクラスの人数が少なすぎるし、高級ホテルに泊まれるなんておかしい。むしろ、それがメインなのではないかと感じるような内容だ。
様々なジャンルの本が置かれた綺麗な机。それが並べられた廊下。本は買えるのだと言う。道中にクラスメートが読んでいた本やテレビで見て気になっていた本が売られていた。現実には存在しない本だった。
エレベーターは時間になるとバスルームになる。エレベーターとして乗れる側には窓と椅子がある。バスルームとエレベーター側は窓ガラスで仕切られて丸見えになっていた。
そこで何をしていたかは分からない。あまり覚えていない。エレベーターに乗って、集合場所へ向かっていたのは覚えている。
「不安定だな」
鶴がぽつり、と呟いた。不安定、というのはどういうことだろう。私は首を傾げた。
「学生時代の夢が多い。でもきみは、決まって現実での自分を忘れていない」
彼は言う。確かに、片隅で仕事のことを考えることも多かった。仕事を辞めてまた学生に戻る内容もそこそこあった。
「後悔しているかい?」
鶴は問うた。
「ううん。後悔したって仕方ない」
私がそう答えると、
「でも、きみは過去を反芻するだろう」
と、彼は言う。
「そうだねえ。あのときこうだったら、今の私なら、って夢を見ることはあるよ」
私はそう言った。鶴は、何か言葉を探している様子だったけれど、結局何も言わなかった。