全てを私にくれる人
※性描写あり、特殊設定
モデルとアイドルとかその辺
「こっち。」
「は?ちょ、悟さん!?」
撮影を終えたと同時に悟さんに腕を引かれて脚がもつれそうになりながらも抵抗を許さない力で引かれてそのままついて行く。なに、なんなの?駿と空護は別行動だし、彼の相方的な存在のSuguさんも今日は居ない。怒らせるようなことをした記憶もないし、さっきまでいつも通りの笑顔を浮かべていたのに。
連れ込まれた真っ暗な楽屋で、壁に追いやられると益々訳が分からなくて視線を泳がせてしまう。なに、と口だけで問うたけれど何も言わない。もう一度名前を呼ぼうとしたら、悟さんの手が私の手首を捕らえた。
「ねえ、キスしてもいい?」
「はい?」
「キス、ダメ?」
「良いけど、急に、」
返事は最後まで聞かれることも無く唇が塞がれた。軽いリップ音が静かな部屋に響いて、そして不意に甘い香りが充満する。ああ、そういうことか。一人で納得して彼の腰に手を回して滑らせ、尾骶骨の辺りに触れればそれは確信になった。口付けながら薄らと瞼を持ち上げても彼の頭上は見えないけど…でも、あるべき場所にない。
「悟さん、出ちゃってるよ。」
「だって、さっきの喜雨ちゃん格好良すぎ。それに…喜雨ちゃんだって出てる。」
「つられちゃった。」
片手を悟さんの腰から自分の腰へと回し、リボンを解く。しゅるん、とスカートを捲り上げていた尾を専用の穴に通したところで視線を感じて見上げれば悟さんが食い入るように私の尻尾を見ていて、なんだか笑ってしまう。私の尻尾より、悟さんの小さくてふわふわの尻尾のが可愛いのにね。するすると手を滑らせて彼のベルトを解き、ウエストを緩める。そのまま下着の中へと指を滑り込ませて掌に収まる尻尾を柔く揉むと悟さんの体が跳ねた。尻尾敏感だもんね、耳のが弱いけど。
第三の性であるキュートアグレッション、俗に言う「食べちゃいたくなるほど可愛い」という性質。その衝動を発動するウルフと誘発するバニー。衝動の発現は好意や恋愛感情に起因、作用する。通常であれば女性はバニー、男性はウルフに分かれるのだが私たちは逆だった。つまるところ、食べちゃいたい女の私と、食べられちゃいたい男の悟さんということ。
バニーにはシーズンがあって…まあ、端的に言えば発情期ってやつ。兎は万年発情期というけれど、この場合は「番である人間に対して誘惑する」程度のものだと思っていれば問題ない。そしてバニーにはマリーと呼ばれる尻尾が生える子もいる。女の子には珍しい事じゃないけど男性だと珍しい。それと、バニーには三種類あって、性質が強ければ頭にひょこりと耳が覗くのだ。悟さんはネザーと言って、小さな上向きの耳が生える。男の人で尻尾も耳も生えるのは珍しいというか希少価値。そんな人が番なわけです。
対してウルフ。こっちは性質により見た目が変わる。私は耳と尻尾が生えて牙が伸びるタイプ、駿は髪が伸びて耳と尻尾が生える。そして、空護は牙が伸びて尻尾が生える。性質が強ければ強い程、見た目の変化が大きいのだ。牙が伸びる、耳が生える、尻尾が生える、髪が伸びるの四つに分かれていて…一般的なウルフは牙が伸びたら性質が強いね!って世界。だからまあ、私たちはすごーく強いよって話なんだけど。今のところ知り合いで四つ全てを満たすウルフは後輩一人だがアレは規格外なのでさておき。
今日の撮影は確かに絡みが多かったけど…どちらかというと格好良さを求められて居たのは悟さんの方だった気がする。でも私もウルフらしさを求められてたし、か。やわやわと尻尾を揉んでいたら大きな体が震えて、腰が揺れる。かわいい、かみたい、たべちゃいたい。衝動のまま、胸元が開いた悟さんの首元に唇を寄せて甘く噛み付く。何度も白い肌に尖った犬歯を食い込ませては舌を這わすとすぐ近くで喉がきゅう、と鳴った。悟さんの瞳がとろりと蕩けて私の尻尾へ触れるから擽ったい。
「喜雨ちゃん、」
「ん?」
「抱いても良い?」
「ダメ、お家帰ったらね。」
「生殺しじゃん…!」
がぷ、と喉仏に歯を立てると悟さんが掠れた声を漏らすから本能が刺激されてしまう。食べちゃいたい、このままこの白い肌が真っ赤になるまで噛み付いたらどれだけ幸福感に満たされるのか。悟さんの可愛い耳がピンと立って、高い音を零す。鼻先を私の頭にぐりぐりと擦り付けてくるからもう可愛くって仕方ない。嬉しい、構って、と彼の本能がさせているのかと思うと良いよって言いたくなっちゃう。首元を噛みながら指を彼の唇に触れさせると長い舌が私の指を舐めて甘く歯を立てる。ネザーは甘え上手な子が多いっていうけど…悟さんはあまえんぼ、って感じ。
「かわいい。」
「僕可愛いより、格好良いのが嬉しいんだけど。」
「がおー。」
「凄い可愛いじゃん。」
指を引き抜いて寂しそうな悟さんと少しだけ距離を離して唇を合わせる。尖った牙が当たらないようにと思うんだけど、気を抜いたら舌も噛んじゃいそう。甘い香りのする彼は食べてもきっと甘いんだろうな、なんて思う。甘い物を好む彼の口の中はいつだって甘いからきっとそれもある。私は普段はそんなに甘い物を好まないんだけど、性質が出るとどうしてか甘い物が欲しくなる、これもきっと本能。だからどうしたって、こうして唇を重ねることが増えるのだよなぁ。
「抱きたい…、」
「今?」
「此処、誰も来ないから。」
だめ?と鼻先を擦り付けて来るから本能と理性がせめぎ合う。私の耳でも誰かの足音は聞こえないし、彼が言うのならそれは本当なのだろうが…流石に楽屋で、というのは、ちょっと。どうしようかと思っていたら彼の長い指が尻尾の根本に触れて、指の腹で柔く押し潰される。
「ッん、…そこ、やってば、」
「喜雨ちゃんだってずっと僕の尻尾触ってるじゃん。」
「だって気持ちいいんだもん、悟さんの尻尾。」
「僕も喜雨ちゃんのふわふわの尻尾好きだけどさ。」
「……こんなさ、誰が来るかわかんないところより二人きりの方が良くない?」
「無理、」
お腹の辺りに押し付けられたのが何なのかはもう聞かなくったって分かってる。硬めのパンツだった気がするんだけどな。
「お願い。」
がぷ、と耳を甘く噛まれてしまうとその気になってしまう。悟さんの可愛いところを見せたくないし聞かせたくないんだけど、でも、…というか私だって我慢してるんだから。咎めるように短くて柔らかく尻尾を強めに揉んだけど悟さんは引く気がないのか何度も耳元でオネダリしてくるからむらむらしてしまってもうダメだ。仕方ないじゃん、だって私はウルフ。肉食獣だもの。
「っあ、ン、さとる、さ、」
「きもちい?」
「やッ、まって、」
壁に背を押し付けたまま悟さんが与える刺激を受けるのは慣れてなくて、膝が笑う。他の人に聞かせないで、なんて強請られてしまえばそれに従うしかなくて片手で口を覆ったまま、口で施す悟さんの髪を掻き乱してしまう。立ったまま舐められるなんて初体験で、いつ崩れ落ちても可笑しくないのに。足首に引っ掛かった下着をどうすることも出来ず、スカートを捲り上げた彼の舌に翻弄される。
「…喜雨ちゃん、頭撫でて、」
「ッ、かわい、こと、言わな、っで、」
「撫でてくれたら、僕もっと気持ちよく出来るよ?」
「もお、きもちい、からッ、」
濡れた舌が陰核を捉えて何度も往復すると頭が真っ白になりそうで、でも、彼が求めるから震える手で細い髪を何度も撫でた。悟さんの尻尾がふるりと震えて、私の声に混じって高い声がする。こうして嬉しいと表現されるとなんでも言うことを聞きたくなってしまう。
「じょ、おず、」
「……ン、」
「ア、っあ、だめ、」
「だめじゃない、でしょ?」
「ッぅ、きもちい、から、っ、イっちゃ、だめ、イっちゃ、からァ、」
「いいよ、イって。」
陰核を吸い上げたまま舌の腹が先端を撫でて、強い刺激に体が跳ねる。目の前がチカチカして、腰から下どころか体から力が抜けるけど崩れることは許されなかった。ちゅ、と何度も達したばかりのソコへ口付けられてナカがひくつくのが分かってしまう。悟さんが濡れた唇を舌で舐め取って、そのまま内腿へと噛み付かれた。バニーなのに、それともバニーだからか?
「もぉ、また私だけ、」
「僕ってほら、愛されたいより愛したい派だからさ。」
「……ふうん?」
「ッひ、ちょ、耳はダメだって…!」
こりこりと指先で耳の付け根を刺激すると悟さんが短く悲鳴を上げて、ぶるりと背を震わせる。ネザーの耳って短くて可愛いんだよね。あ、噛みたい。まだちょっと体に力が入らないけれど膝立ちしてぴょこんと立った耳に甘く噛み付いたら悟さんが口元を覆う音がした。それはもう盛大に、ビタンと。怪我をさせたいわけじゃないから力加減はいつもより入念に、甘噛みよりももっともっと柔らかく。大きな体で必死に耐える姿が愛おしくて、やっぱり食べちゃいたい。片手を悟さんの下腹部を伝わせ下着の中へと潜り込ませて反応を示す性器を握る。ちょっとやりずらいけど、緩く上下させて刺激を与えれば、悟さんが負けじと私の濡れた性器に触れる。指に纏わせ、そのまま潜り込んで来るから余りの衝撃に耳を食い千切りそうになった。死ぬ気で堪えたけど。
お預け状態の悟さんと、達したばかりの私。どっちが先に降参しても不思議じゃない。耳から口を離せば考えていた事は同じなのか食らいつくみたいに唇を重ねて、舌を絡ませる。馬鹿みたいに興奮してるのが自分でも分かってて、彼の喉へと唾液を流し込むと喉仏が上下するから、なんだかそれにも頭が弾けそう。先端から溢れた先走りを塗り広げ裏筋を指の腹で擽ると悟さんの腰が大きく揺れて、肩で息を切らす。それでもまだ、イってはないみたい。
「喜雨ちゃん、入れたい、」
「ゴム、」
「大丈夫、絶対、スイッチ入れないから、」
「だめ、帰れなくなっちゃうでしょ、」
「ちぇっ、」
バニーは妊娠を自分で決められる。まあ、衝動的に孕ませたいと思っちゃう場合もあるんだけど…まあ、私は生理痛が重いからそれの緩和剤としてピルは飲んでいるし、妊娠の可能性はほぼゼロに近い。中に出されても平気だけど、すぐにお風呂に入れる状況じゃないから溢れてしまったら困るんだもん。ああでも、奥に出されて悟さんので擦り付けられるの、好きなんだよなぁ。
「あ、今きゅんってした。」
「ッ、すけべ、」
「ナカきゅーってしたの喜雨ちゃんでしょ?…ナカに出されるの想像した?」
「……した、」
「そりゃ孕ませたくないって言ったら嘘になるけど、…でも、まだ二人が良いし絶対させないから。」
「絶対、だからね。」
「うん、約束。」
痛くなっちゃうから、と促されるままに立ち上がって壁に手をつく。悟さんに背を向けてるのがちょっと不安で、腰を捻って顔を覗き込むと上から口付けられてそのままぬる、と性器が合わさる。隙間を開けて潜められた声で良いか聞かれた。今更なのに、こうやって私から強請らせるの良くない。尻尾で彼の脇腹を擽ると悟さんは小さく声を上げたがそのまま、咎めるみたいに最奥まで捩じ込まれて声が出ない。
「っ、は…ナカあったかい、」
「ばか、…ッあ、」
「本当は声聞きたいけど、それは、帰ってから。」
立ったまま後ろから、悟さんに縋ることも出来ずに居れば悟さんの片手が私の声を殺す口元を覆って、少しだけ苦しい。気持ちいい、噛みたい、食べられちゃいたい。ぐちゃぐちゃになった思考を更に乱すみたいに何度も敏感な部分を擦り上げ、奥を刺激される。彼の子を欲してる本能に色々ダメになりそう。彼の指の隙間から溢れる声は、きっの彼の耳ならよく聞こえてるだろうな。
「っふ、ぅ…ン、」
「喜雨ちゃん、可愛い、」
「み、たい、…さ、とるさ、かみた、」
「僕も、噛んで欲しい、」
咥内に滑り込んだ悟さんの指先に牙を立てて、それでも声だけは出さないように。細くて長い、綺麗な指に私の歯形が残るとどうしようもない程の幸福感が胸を占めるのにそれでもまだ足りないとすら思う。もっともっと、この雄は自分の物だと主張したくて堪らない。これが縄張り意識なのか。深く牙を立てると悟さんが痛みを訴えるみたいな声を上げたけどそれすら気にならない。
「喜雨、ちゃん、っ?」
「っ、わたし、の、」
「……うん、僕は喜雨のだよ。」
指から牙を抜いてまた彼と口付ける。嗚呼、鍛えていて良かった。振り返って上を向いて、無茶な体勢もこなせる。こうして彼とキス出来るのだから。流し込まれた唾液を飲み込んで、そのまま揺さぶられる刺激に身を任せた。
「うわ、凄いことになってる。」
「マジ?」
「噛み跡まみれだわ、この辺真っ赤。」
「撮り直しって言われたらどうしようね。」
「私が噛んだのなんて一発で分かるし企画ごと変わるかもね?」
悟さんは肌白いから目立つもんなぁ、と他人事に思いながら指先で跡を撫でる。仕事に支障をきたすのは良くないんだけどこれはもう本能だから許されたい。私たちがパートナーなのはもう公表してあるし問題はない…いや、夜蛾さんには怒られるかもしれないけど。でもパートナーの誘発に勝てるウルフが居るなら見てみたいとこではある。
「そもそも狼なんて、愛情深くて一夫一妻制なんだから無理だよねぇ。」
「へ?」
「パートナーに勝てるわけないよねって話。」
下から顎を掬って、またその唇を奪う。下唇を甘く噛んでから離すと呆けたままの悟さんが視界に入って笑ってしまった。かわいいひと。
「一生かけて、あなたを愛してあげる。」
「……ぜ、っろきょり!ファンサ!!よくない!!!」
「いや、ファンである前に恋人だから。」
「ファン歴のが長いよ!!」
「分かった分かった、どっちでも良いけど、ちゃんと愛される覚悟だけはしててね。」
乙女かってくらい顔を真っ赤にしてなにかぼそぼそ言ってる悟さんの頬に唇を押し付けて、左手の薬指に噛み付いてやった。