何年先もキミが好き


※性描写有り、年齢操作です



何時間経ったっけ、なんて酸素の足りない頭で考えていたら大きな掌が頬を包んで唇が塞がれる。一瞬の考え事すら見抜かれて、それを咎められた気がして何とも居た堪れない気持ちになるけれど申し訳なさも少しだけあるから促されるままに薄く開いていた唇から舌を伸ばして隆の舌へと絡ませた。既に酸欠なのにまた酸素を吸う機会を失ってしまったが、そんなことより粘膜の触れ合う水音が響いてぞくぞくする。はぁ、とどちらからともなく息を吐いて視線が絡む。普段から垂れた目尻がきゅう、と下がって眉根を寄せる姿にはまだ見慣れない。

「っは、ンぅ、」
「きもちー?」

軽く揺さぶられてナカに入ったままの性器が何度も達し膨らんだ部分を押して喉が鳴ると、隆はまた笑う。満足そうに、幸せそうに。浅い呼吸を繰り返しながら頬に添えられた手に擦り寄って一つ頷くと深くまで押し込まれて、そうしてそこで止まる。揺さぶるわけでも捏ねるわけでもなく、ただこうしてナカを埋めるだけの行為を隆は気に入っているみたい。私は子宮口を押されてるから気持ちいいけれど、でも激しい刺激じゃないから微温湯に浸かっているような感覚で。ずっとゆるゆると、きもちいい。

「も、つかれた、」
「だから休憩してるだろ?」
「これ休憩じゃないと思う、んだけど、?」
「後でいっぱい甘やかしてやるから、今は甘やかしてよ。」


どっちが甘やかしてるんだか、わからない。甘えてると言えばそうだし、甘やかしていると言ってもそうな気がする。三回目に達した今日の行為は愛されたい私の甘えなのか、求める隆の甘えなのか。18歳になるまで殆ど手を出さなかったこの男はこの歳になってタガが外れたかのように触れ合いを求めてくるようになった。勿論嫌じゃないし、寧ろ嬉しい。付き合ってそれなりに経つから女として見られなくなってるのかもなぁ、なんて思ってた時期もあるし尚更。恋の賞味期限って三年だとかなんとか、聞いたことあるし。責任取れない内から手出すのは…とか考えてた事を聞いたのももう何年も前の話だ。だから、私たちが頻繁に体を重ねるようになったのは付き合ってから丸四年。それまでは…数えられる程だった気がする。

「普通、五年も付き合ったら、性欲薄れそうなのに…、」
「そ?好きな女には、いつだって触れたいでしょ。」
「じゃあ、性欲じゃなくて好きが薄れるのかもしれない?」
「ねぇな。その分惚れ直してる。」

こっちが照れるようなセリフをさらりと零して、ちゅ、と軽い口付けが汗ばんだ肌に何度も落とされる。惚れ直してるのは私もだけどそれを言う隙も与えてくれない。頬から離れた掌の体温が寂しいと感じる前に指が絡んでシーツに押し付けられるともう逃げられないなぁ、なんて思う。この行為からじゃなくて、この男から一生逃げられないだろうなって。唇を避けるように顔中にキスされたかと思えば次は首筋に触れて、ちくりと痛む。見えるか見えないか、そんな位置にキスマークを付けるのは珍しい。いつも見えないとこばっかなのに。


「…隆、なんかあった?」
「んぇ?何が?」
「そこにキスマ付けんの、珍しいから。」
「アー…キスってする場所ごとに意味があんだって。今日職場で話してるの聞こえたから実践中。」

なんだそれ、そんなもんに意味があるのか。私の中では愛情表現でしかないし…キスマークは浮気防止と所有印くらいだと思っていたからびっくりした。何の意味があるのか聞こうと口を開くけど、急に下腹部を撫でられて体が跳ねる。その動きでナカにある性器の位置が変わって堪らず締め付けたら、隆の喉からぐぅ、って獣が唸るみたいな音がした。

「…っふ、もお、動けってばぁ、」
「やァだ、もうちょい。」
「なぁんで、」
「きもちーって顔してる紗織かわいーから。」
「あほ、すけべ、むっつり、」

ワハハ、なんてこんな時に似つかわしくない笑い声。なんだか色気のない雰囲気になりそうだ。終わっても良い、でもまだこの体温が離れるのは嫌。どうしよう、と繋いだままの手を握ったり緩めたりしていると隆が握り返してくれた。気怠い下半身に力を入れて太腿で隆の腰を挟み、軽く腰を揺らしたら目を丸くさせてるから、何か言われる前に口を開く。

「……たかぁ、」
「その声は、ズルくね?」
「ね、ぎゅーして、」
「…いいよ、おいで。」

繋いだ手が離れて、二人で背中に腕を回して代わりに素肌同士が触れる。ぴったりと、隙間を無くすみたいに。長く続く性行為のおかげでお互い汗が滲んだ肌がくっつくのがなんだか気持ちいい。一つになったみたいで嬉しい。けど、くっついた事でまた角度を変えた性器に下腹部がきゅうきゅうと媚びるみたいに隆を締め付けて離さないようにしてるのが恥ずかしくて大きな背中を爪先で軽く引っ掻いた。


「…隆も、きもちい?」
「きもちーよ、ずっとこのままで居たいくらい。」
「やらし、」
「紗織もだろ?」
「隆がそうしたクセに、」
「いいじゃん、オレも女の抱き方は紗織に教わったし?」
「お互い様かぁ、…ッあ、まって、急には、や、」

奥まで飲み込んだソレで円を描くように捏ねられて腰が跳ねるとそれを抑え込むみたいに体を押し付けてくるから物理的に全然動けない。シーツを蹴って、そのまま爪先でシーツを巻き込んで真っ白な布に皺を寄せる。やだ、と鼻にかかる甘ったれた声が出て恥ずかしいのに、隆はそんな私を気にしてないのか耳の付け根に口付けて軟骨を甘く噛む。すぐ近くで聞こえる音が生々しくてやらしい。やっぱお前ムッツリすけべだろ。

「ぁ、あ…っん、ふぅ、」
「は、すっげ、ナカうねってる。持ってかれそ、」

発散出来ない熱が腹に溜まっていく感覚に視界がブレて勝手に声が出る。二人で浅く呼吸をして、耳元に直接吹き込まれる吐息に胸の奥が締め付けられるような、そんな感じ。こんなの耐えられない、無理だ。愛しい男が自分に興奮してるだけでも諸々が爆発しそうなのにそんな男がこれ以上ないくらいに愛してくれている。我慢の限界だ、このままだと死んでしまう。隆、と上手く動かずにもたつく舌で名前を呼べば顔を上げてくれるからそのまま顎へと口付ける。

「…うごいて、ッん、ぁ、気持ちよくなりたい、たかので、イキた、っあ!」
「……んっとに、可愛すぎてズルいわ。」
「ひゃ、あ、ァ…ッ?まって、はや、ぃってぇ、」


ぐん、と大きくなった性器が抜けたと思ったら根本まで押し込まれる。焦らされ続けた体には刺激が強くてすぐにイっちゃいそう。でもそろそろ体力の限界で、気を抜いたらそのままトんじゃうのが感覚で分かるから強く目を瞑って耐える。きっと意識を持ってかれたら隆はそこで終わりにするから、そんなのは嫌だ。同時とまでは言わないけど、一人で先に落ちるのは避けたい。

そんな私を知ってか知らずか、隆は動きを緩める事はないし自分が達する為の動きじゃないし。違うって、隆と一緒がいいんだって、と言いたいのに口から溢れるのは甘えきった喘ぎ声だけ。敏感になった場所を何度も擦られるのが気持ち良くて仕方ない、やだ、イきたくない。背中に爪を立てて引っ掻いて、首を振った私に何か気が付いた隆が私の鼻先に唇を掠めさせた。


「一緒がいい?」
「っん、いっしょ、がいい、ッあ、たか、」
「かーわい、」

隆にしては珍しく奪うように唇が重なって、舌が絡んだと思ったら動きが変わる。もう考え事なんて出来なくて、与えられるものを溢さず受け取ることすら無理だ。気持ちいいだとか好きだとか、隆の名前を呼ぶだけでいっぱいいっぱいの私を咎める事もない。ただ、私がこの男を求めるみたいに何度も私の名前を呼んでくれた。

「いく、も、いっちゃう、ッたか、いっちゃ、」
「オレ、っも、」

お互いの体を掻き抱いて、揺さぶられるままに溜まった熱が爆発する。お腹に力が篭って、その後すぐに筋肉が役目を終えたかのように一気に体中の力が抜けた。隆は私がイった時の締め付けでイけたのか、奥に擦り付けるみたいに何度か揺さぶった後、荒い呼吸を繰り返している。額に滲んだ汗が頬や顎を伝って私の体に落ちるのがやけにゆっくり見えた。今絶対やらしー顔してるでしょ、でもこれはお互い様かな。背中に回した腕を滑らせて隆の髪を撫でる。しっとりしてるのはきっと汗をかいたからだろう。


「隆、へーき?」
「大丈夫、紗織は?」
「平気、きもちかった。……あ、ごめん。背中傷になってるかも。」

そりゃ男の勲章だから良いんだよ、と笑った隆につられて笑みが溢れる。なんだそりゃって思うけど、恥ずかしい答えが返ってきそうだから心の中に留めておく。終わりの合図みたいに頬にキスされて、焦らすみたいにゆっくりと引き抜かれていくのすら快感を拾ってしまう。今なんでも気持ち良いだろうけど。惜しむようにひくつく肉壁に連動するみたいに太腿が震えて背中が反るのを隆が優しく撫でてくれた。

「っ、」
「勃っちゃうから声は我慢してな。」
「ばぁか、」

この居なくなってしまう感覚はちょっとした寂しさみたいなのがある。なんとなくゴムの口を縛る隆を見守って、ティッシュで包んでからゴミ箱に投げ捨てたのを確認して背中に抱き着く。こういう事後のスキンシップも好き。振り向いた隆の頬に口付けてから抱っこ、なんて甘えたら抱き上げられて風呂に連れてかれた。強請ったのは私だけれど本当にされるとは思っていなかったから、思わず嘘じゃんって口から溢れたけど結局二人で笑ってしまうから困ったものだ。


戯れ合いながら体を洗って貯めたままにしてた湯船に浸かる。いつもは背を預けるけどなんとなく顔が見たくなって正面に座ったら不服そうな顔。その顔可愛いな、ちょっと意地悪したくなるわ。したら五倍くらいになって返ってきそうだからしないけど。なんて考えてたら結局腕を引っ張られていつもの体勢へ、振り返って見上げたら視線が合う。惜しむみたいに何度も濡れた額や髪に口付けるから胸の辺りが擽ったい。

「顔見たいんだって。」
「後で。嫌ってくらいベッドで見せてやるから、今はコッチな。」
「ちぇー。」

好きだから良いけど、とまでは言わない。言わなくたって分かってるだろうし。胸元に寄り掛かると腹に腕を回されてそのまま何でもない話をした。そろそろ日が昇る時間の方が近いからそんなに長くは浸かっていられないけれど、こんな風に話すのも好き。あれ、私こんなんだったっけ?と、こんなにスキンシップが好きになってた事に今更驚く。体だけじゃなく考え方まで隆に塗り替えられているのかもしれない。でもまあ、それも悪くない。



ベッドに戻ってぐちゃぐちゃになったシーツを取り替えてから二人で並んで寝転ぶ。こうやって腕枕をされるのも、もう当たり前みたいになってる。なんとなく手を伸ばして隆のピアスに指先で触れるけど擽ったそうにするだけで抵抗はされない。昔は頭とか触られるの嫌がってたのに、なんて思って、そうして私も隆のことを塗り替えてたんだなって気が付いた。そうしたら、なんかもう、言葉にならない感情が溢れて来てどうしようもなくなる。

「なぁに泣きそうな顔してんの、オネーサン。」
「…好きだなぁって?」
「なにそれ。」
「私、もうどうしたって隆から離れられない気がする。」
「そりゃ良い。ジジババになってもこうやって寝ようぜ。」


子供みたいに触れるだけの口付けを何度も交わして、きゅうっと細まった目元にもキスして。爪先を絡めて肌を寄せ合ってもう離れてる所なんてない筈なのにもっともっとと強請る心はどうしたらいいものか。

「我儘だとは思うんだけどさ。」
「なに?朝飯の希望?」
「今度、入れたまんま寝よ。」
「はぁ!?」
「隆とくっついたままが良いなーって。」
「絶対抱きたくなるんだけど。」
「そしたらセックスしよ、解決。」
「なんも解決してねぇワ…。」


離れたくないんだよ、と思ったけど言葉にするのは少し戸惑う。今だってくっついてるじゃんと言われたらそれはそうだし。でも、そうじゃなくて、うーん。疲労困憊の体が眠気ばかりを訴えて考える気力がない。困らせたいわけじゃない事だけは伝えたいけれどもうなんて言えば良いのかも考えられないから、思い付く限りの言葉を並べるのが限界で。

「寝る時から起きた時まで、隆がそこに居てくれたらいいなって、思って、…だめだ、ねむくて言葉がまとまんない、」
「わぁった、起きたら聞くからもう寝ろ?」
「んんん…起きた時、居てね、ご飯いいから、……ぎゅって、したまま、」

ふつり、ふつりと意識が飛ぶ。言いたいことの半分も言えてないのに。視界が閉じてどんどん音が小さくなっていくのがどうしようもないのに抗いたくて仕方ない。せめてと隆の服を掴んで胸元に額を押し付け、私が眠っている間にどこかへ行かないようにと願う。

「……死ぬ。うちのヨメが可愛すぎて死ぬ。あんっな甘え下手だったのに…クッソ。」

そんな風に隆が言っていたのは私は半分も聞こえなかったけれど、それでも小さな笑う声は聞こえて。おやすみと掛けられた落ち着いた声と瞼に落とされた口付けが余りにも優しくて、抗いきれずにゆっくりと意識を手放した。



目を覚ました私は相変わらず隆の腕の中に居て、色々判断が出来ていない寝惚けた私におはようと笑う。本当に飯用意してないからなとか、そんな事を言う隆に思考がクリアになって思い切り抱き着くと甘えん坊だとか何とか揶揄って来るけど…そんなのもういい、この男悔しいくらいに私を甘やかすのが上手だ。

「大好き。」
「オレのが好きですけど。」
「私のが好きだわ、バカ。……おはよ、隆。」
「おはよ、紗織。」


なんかもう今すぐ抱いてって言いたくなったけど流石にこれ以上我儘を言うのもそろそろ怒られそうだからやめておこうと思うのに、それでもなんだかどうしようもなく愛しくなって耐えられない。どうせ流されるなら言ってもいいだろ、分かんないけど。

「抱いて…。」
「いいよ。」
「分かってるって、冗談……え?」
「入れたまんま寝なくても、起きたら入れるにすればいいだけだもんな?」

ぐるん、と体勢が変わって視界一杯に隆。態とらしく太腿に緩く反応を示しているのが押し付けられてカッと耳が熱くなり赤くなっているのが自分でも分かった。ゴツゴツした、普段は人を着飾る為の指先がキャミソールの隙間に差し込まれて素肌を滑る。ひっ、なんて情けなく引き攣った声が出たけど隆は笑ったまま。


「煽るだけ煽って寝たんだし?今日は休みですし?…付き合ってくれるだろ?」
「……甘やかしてくれるなら。」
「なんならそっちのが得意。」
「あと、名前、いっぱい呼んで。」
「紗織もオレの名前呼んで、紗織の声で呼ばれんのスゲー好き。」


愛してる、と声が重なる。唇が合わさって、素肌が晒されるのがどうにも幸せでこんな休みも良いなぁなんて思う。月に一回くらいはこういう日を作っても良いかも。それでもまあ、朝か昼か分からないご飯は隆に作って貰おうと決めて、お返しと隆の服に手を忍ばせた。



タルト有馬す。