誓いの口付け
※性描写あり
アレックスさんに頼まれテキサスの別荘に来てから早くも5日目、乃愛と二人きりで過ごす時間は結婚前…というか、乃愛が組を継ぐ前のような生活でくだらない事をしてるだけで楽しくてあっという間に過ぎた。アイツの昔の友達に会って、部屋の探索をして、宝の地図なんてものを必死に探したり…そんな4日間。乃愛に抱き潰されてみたい、なんてくだらない上に恥ずかしい願望をアレックスさんに打ち明けて用意された一週間も今日を含め残り3日となってしまった。どうしたらいいんだ、マジで。ここまでくればもうどうにでもなれと恥を忍んでアレックスさんに助けてくれと電話すれば催淫効果があるというキャンドルを譲って貰った。だがそれを点けたのも30分程前で灯る炎はもう消えかけている。うんうん悩んでみたものの結局まどろっこしい事は性に合わないと意を決して押し倒して…そこまでは良かった。
「っ、ぅ…」
「りゅー、ひもち?」
生温い口腔内に含まれた陰茎を舌先が包んで、でもひやりとした金属の感覚はまだ慣れない。手と口で二度射精したものの責め苦は何故かまだ続いていて必死に堪えた嬌声が部屋に響く。ぢゅ、と先端を吸われると頭が馬鹿になりそうで嫌だと訴えるが聞き入れては貰えず後孔に埋め込まれた指先がくるりと円を描いて腹側の前立腺に触れ無意識にその指を締め付けてしまう。ローションをたっぷりと絡ませたお陰か、ここ四年掛けて開発されたからか痛みはないし寧ろ快感のみが押し寄せるから困ったものだ、とどこか他人事のように考える。裏筋にピアスが触れてぐっと射精感が押し寄せて堪える為に必死に唇を噛み締め、緩いパーマの掛かった髪をくしゃりと掴んで訴えれば乃愛は分かってないのか、それとも分かっていてやっているのか愛撫は続いてじわじわと涙が込み上げる。
「も、やだ…って、」
「らんれ?」
「ッ、焦れった、んだっつ…の、っ!」
早く入れて、そう言えたら良いだけなのに中々上手くいかない。こっちは下着まで全部引っぺがされたのに乃愛はまだ服の一枚も脱いでいない。余裕そうな表情で俺を傷付けない為に丹念に慣らす。気持ちいいけどもう指じゃ足りないんだよ、バカ。今何本入ってんの、ぐちゃぐちゃ掻き回す指の本数なんてわからないけど多分もう入る筈だ。陰茎から唇が離れて安堵からか吐息を吐き出すと指の動きが変わり前立腺を優しく擦る。指の腹で撫でられると込み上げていた射精感が堰を切ったように溢れて今すぐにでも出したいと先端からダラダラとだらしなく濡らして乃愛の唾液と混ざりてらてらと光り、腹に付く程反り返ってるのにどうやら達するのは認めてくれないらしい。
「…なあ、龍もうこっちだけで出せるだろ?」
「や、だ…乃愛ので、イキた、」
「熱烈ぅ。……あ、ゴムねぇや。」
「ンなねちっこく触っといて、入れねぇとかふざけ、な。も…寄越せってば、あっ」
力の入らない体に鞭を打って脚を開いて強請れば乃愛は満足そうに笑って指を引き抜いた。それからナマで後孔に陰茎を押し付けられると期待感から緩く腰を揺らしてしまう。馬鹿みたいだってわかってるのに、一度覚えた快感は病みつきになる程でタチやってた頃より何倍もイイ。乃愛が小さく笑うのが聞こえたけれどもうどうでもいいから。早く、と言ったつもりだったけど喉を震わせるだけで声にはならなかった。伝わったのか切っ先がぐ、と押し込まれて一番太い部分が入りきれば後はもう簡単に飲み込む。詰まりそうになる息を必死に吐き出して尻に硬い骨が触れると一旦動きは止まる。
「の、あ…っ」
「ん?」
少し伸びたけれどそれでもまだ短い俺の前髪を掻き上げて額に乃愛が口付ける。額から始まり頬や鼻先にも唇が落とされて靄がかった頭が幾らかスッキリして、そうすると飲み込んだ熱を意識してしまうから続きを強請る為に唇を尖らせた。乃愛は笑って唇を合わせると緩やかに腰を動かす。抽送のリズムは一定ではないし動き方だってコロコロ変わる。奥を狙ったり前立腺を狙ったり…一緒に刺激したり。くっそ、相変わらず上手ぇな。
「龍きもちい?腹側、好きだよな。」
「ひゃ、あっ!んんん…う、っあ」
「可愛い。」
愛しいって顔して、優しくされて。それに不満があるわけじゃないけど偶にはコイツだって俺に必死になってくれりゃ良いのに。揺すられる快感からかそんな感情からか目からじわじと涙が浮かんでそれを見られたくなくて顔を背けているとゴリ、と最奥に触れて喉が引き攣るのと同時に膜を張っただけだった涙があっさり溢れた。そこからはもう堰を切ったように止まらなくなってゴツゴツと突かれる度に頬に涙が伝う。
「っう、お前ばっか、余裕…ムカつく、っ」
喘ぎ声に邪魔されながら言葉を続けて下から睨みあげる。乃愛は少しぽかんとしたけど、ふ、って気の抜けたみたいな顔をしてから俺の腰を掴み直してさっきまでの動きなんて嘘みたいに激しく抽送されて呼吸の為に大きく開いた口の端から唾液が溢れる。首筋に唇が寄られて強く吸われ赤い跡を残す。そのタイミングで前立腺を思い切り刺激されて止める間もなく後ろの刺激だけで達した。びく、と体が震えて強い締め付けからかナカに注ぎ込まれて温かいのが腹の内側に広がってぞくぞくする。引き抜こうとした乃愛の腰に脚を絡めてやればきょとん、と目を丸くさせてこちらを見ている。言わなくても伝われとか思うのに、求めるのなら口にしなくてはならないし…もご、と口をまごつかせて居れば乃愛がまた沢山の口付けをくれるから胸の奥がぎゅうと掴まれたみたいになってまた勝手に涙が浮かぶ。
「どったの?」
「………も、っかい、」
「…ん、良いよ。」
良いなんて言ったくせにずる、と引き抜かれる。なんで、なんて問う前にころんと体が反転させられて枕に顔を埋めて腰を高く上げる体制になる。気を抜くとさっき出されたのが溢れそうで、それが嫌で零さないようにぎゅうと締めると乃愛の指先が後孔に触れて縁を労わるように優しく撫でる。多分、余分な力は抜けって事なんだろうけどその感覚にすら感じてしまって膝が笑う。またぴたりと宛てがわれてさっきよりもあっさりと全てを飲み込む。バック、奥にガンガン来るから結構弱い。縋る場所が欲しくて枕を掻き抱いて嬌声も一緒に受け止めて貰うことにする。
「ひ、ぐ…っおく、ばっか…っ」
「うんうん、きもちーな?」
「むかつ、く…うあ、っは、んん!」
律動のままに体が揺さぶられてその度に情けない声は出るし涙は止まらねぇしもうなんなの。お前俺のことどうしてーの?俺はお前とならどうなってもいいから、一人は嫌だけどお前とならどんなになってもいいよ。だから求めてろよ、俺の事。必死になれ、そんで、どろどろでもぐちゃぐちゃでもいいからお前と一緒にならせろ。
「っあ、のあ、…っ」
「…かあいいの。龍、こっちおいで。」
必死に名前呼んでたらぐいと引き寄せられてちょっと無理矢理な気もしねぇけどまた上向かされる。ぱち、とエメラルドグリーン色と目があって滲んだ視界でもそれが乃愛って分かって胸がぎゅうってなって、へにゃって情けねぇ顔しちまう。その途端に乃愛の目が変わって乱暴にキスされて舌突っ込まれて口ん中ぐちゃぐちゃにされながらまたガンガン突かれる。与えられる全部気持ち良くて背中に縋って思わず爪たてちまうけど乃愛は咎めなくて。頭バカになってもうわけわかんねぇけど気持ちいいし相手は乃愛だし取り繕う気なんか起きなくてバカみてぇに喘ぐ。もう啜り泣いてるみたいな高い声しか出ない。
「いき、た…も、いく、ナカきもち…あっ!」
「いいよ、ほら。」
最奥を捏ねるように刺激されて頭ん中と目の前が真っ白になって、そんでぱたって意識が切れる。ぺち、と頬を軽く叩かれて薄く意識を取り戻し始めると今度は優しくキスされてぼんやりと戻ってくれば乃愛が目元に口付けを落として優しく、壊れ物扱うみたいに頬を撫でて来るからとろとろと蕩けた意識のまま掌に頬を擦り寄せる。
「もう無理?」
「う…あ、」
「……もっと、は?」
にやあって、笑う。その顔アレックスさんそっくり。セックス中に旦那のオヤジさんを思い浮かべるのはなんか違う気がすっけどマジで似てる。でもその顔、弱い。ぎゅううってなる、胸とかケツとか。
「も、っと…、」
「Good.」
ちゅって可愛い音立てて瞼に口付けられて心地良いなんて思うのも束の間ですぐに覚醒しきれてない意識が強すぎる快感で無理矢理起こされて、でももうどうしようもねぇや。暴力的な快感と激しい癖にやけに甘ったるいキスに翻弄されて喉がカラッカラになるまで喘いで結局意識トバして終わった。
なんか変な感じする。なんだろうって目を開ければベッドで、脚開いた状態で乃愛の指がナカ引っ掻き回してて思考回路がショートしかける。え、なにしてんの?つーか今何時?混乱して声もかけられずに居るとぐちゅ、って音がしてナカから出てく感覚に一気に意識が覚醒して思わず脚を閉じた。
「あ、おはよ。」
「はよ…っじゃねえよ!何してんだ!」
「なにってナカに出したの掻き出してる。腹下したくねぇだろ?」
きょとんって顔すんな。お前が善意でやってたとしてもそれはダメだ。続きするから脚を開けと言わんばかりに太腿を軽く叩かれるけれど従えるか、バカヤロウ。
「自分でやる!お前は風呂入ってこい!」
「オレが出したんだからオレがやるのが道理じゃん。」
「ナカに出せつったのは俺だからいいんだよ!いいからはよ指抜けや!」
あんま暴れるとナカ傷付けかねないからろくに抵抗らしい抵抗も出来ない。それでも何とか諦めさせようと体を捩れば指先が昨日散々愛撫された前立腺に触れてしまい開いた唇から甘ったりぃ声が漏れる。慌てて掌で口を塞ぐけれど一度漏らした嬌声が無かったことになるわけではない。でもそのびっくりした顔辞めろ。俺だってびっくりしてんだよ。
「龍?」
「…おまえが、ナカ触ると、変な気分になるから、やだ、」
「………さっきゴム見付けて昨日の中出し後悔したんだけど結果オーライだったわ。」
は?なんて言葉の前に指引き抜かれて膝裏に手回されてがっつり膝開かされてひく、と頬が引き攣って嘘だろってほぼ無意識に口から漏れた。無情にもゴムの包装紙が破かれる音がして逃げ場がない事を知る。ああもう、体は軋んでるみてぇな感覚なのに求められるの嫌じゃねぇからムカつく。期待しちまってる俺にもムカつく。だからこれはただのイライラ対象法、そう言い聞かせて身を任せた。
「流石に腰痛ぇや。」
「…だろうな。」
何回したんだ、昨日だけで。途中までは覚えてるけど半分くらいは頭ブッ飛んだ状態でセックスしてたから回数までは分からない。でも余裕ない顔見れたし、求められんのは悪くねぇし…今日一日大人しく寝てりゃ明日には幾らか回復してんだろうしな。結局あの後一回セックスしてもう動けねぇ俺をあっさり抱えて風呂に連れて来て貰い至れり尽くせりと髪から何から全て洗ってもらった。ナカのはさっきのセックスで多分掻き出せたし。後ろから抱き締められたまま風呂に浸かって背中を乃愛に預ける。やべぇ、多福感。体キツイけど。
「俺、マジで大事にされてたんだな。」
「ふは、今更?」
「…でも、昨日みてぇに求められんの嫌いじゃない。」
「そ?…龍の泣き顔可愛かった。」
「どこに盛り上がってんだ、お前。」
催淫効果のアロマキャンドルは効果あったんだろうか。わからないけどなんか聞くのも癪だからいいや。首元に擦り寄る乃愛が愛しくて頬が勝手に緩む。ちゃぷ、とお湯の跳ねる音が浴室に響く。
「龍、キスさして。」
「…ばあか。」
腰捻るのは多分しんどいから体ごと反転させて後ろ向いて、目を瞑ると直ぐに唇同士が触れる。ちゅ、と啄ばむようにキスされて幸せだって胸ん中いっぱいになってこっちが夢中になっていく。どうしたらいいかわかんねぇ、昨日からこればっかなのわかってんのにもうどうしようもねぇ。ああもう、好きだ。お前ほんとズリィよ。苦しいとすら思うのにこの気持ちは一生手離したくない。
帰りたくねぇな。勿論組の人間は好きだし店のこともあるしコイツ組長だからそんな願い叶うはずも無いことはわかってるけれど、でも、乃愛が俺だけのもんっていうこの時間を手離すのには惜しくて。日本に帰ったらコイツは東条組組長の東条乃愛で、俺はその妻の東条龍で。二人きりの時間が取れるのはどれくらい先になるのかわからない。こんなに愛された後に、すれ違い生活とかになんのかな。じわ、と無意識に涙が出そうになる。このまま、キスしたまま時が止まればいいのに、バカみてぇにそんな事思った。そんくらい今が幸せだって思ったんだから仕方ねぇだろうが。まあ、そんな願いが叶うはずもなくあっさりと唇は離れた。
「オレ朝飯作って来るからもうちょい浸かってろ。」
「……やだ。」
「逆上せちまった?」
「違う。今一人になるのやだ、から着いてく。」
首に腕回して隙間なく体を合わせる。もう少し、もう少しだけしたらちゃんと何時もの俺に戻ろう。だから今日だけは甘ったれでいる。また明日からは乃愛の隣に立っても恥ずかしくない妻に戻ってみせるから。一昨日まで友達だったあの頃みてぇに過ごして明日から極妻なら昨日と今日の二日間くらい恋人気分に戻らせろ。つーか、バタバタしてて忘れてるかもしんねぇけど俺ら新婚なんだからな。
「なぁに、昨日からすげぇ甘えたチャンじゃん?すげぇ可愛いんだけど。」
「うっせぇ。」
「照れんなって。」
可愛い、は褒めてんのかよくわかんねぇけどコイツが良いなら良いか。どうせもう今日は動ける気がしないし宅配ピザでも食ってダラダラ過ごそう。思い出したみてぇにくっついて、戯れて、多分もうセックスは出来ねぇけどその分沢山キスして今日が終わればいいや。甘えてぇ気分の妻を甘やかして蕩けさせるのは旦那の仕事だ、偶には家族サービスしろよな。逆もまた然りだから俺も精一杯甘やかしてやろうって決めて、ひっそり誓いの口付けでもしてやった。
きなこ