タイトル








先生のヒミツ


 狼から人間になるため、日々勉強中である生徒。彼が来てから1週間くらい経ったときのこと。
クールで一見何事にも無関心そうな生徒だが、実は驚くほど好奇心旺盛な一面もある。これがそのときの記録だ。

「ヒロイン先生、ご飯食べてもいい?」
「あ、私がやるからちょっと待ってね」

夕飯を食べたにも拘わらず、夜も更けた頃小腹が空いてしまうのはまあたまにある。しかし生徒の場合はそれが人より高頻度で、しかも欲する量も多い。
さすがは狼様とでも言うべきか。

私は予め多めに作っておいた夕飯の残りをお皿に盛りつけると、生徒の前に差し出す。

「ありがと、先生」

とびきりの笑顔を浮かべているわけでもないのに、真っ直ぐ私を見つめてお礼を言った生徒に、私は不覚にも少し、きゅんとしてしまった。

「ごちそうさま。先生の料理旨いから、幸せだなってよく思う」
「え、ほんと?」
「うん。明日も楽しみ」

生徒の言葉がすごく素直に響いて、私はなんだかくすぐったく感じた。少し落ち着かないのは、胸が高鳴ったからかもしれない。日に日に、私は生徒に惹かれている気がする。

「えっと、何か飲まない?買ってくるよ」

その場にいるのが少し恥ずかしくなり、急に席を立つ。すかさず、生徒に腕をとられる。

「え」
「待って。暗いから俺が行ってくる」

生徒が近い。気を紛らそうと思って立ったのに、余計緊張してしまう。
上手く言葉が紡げず、気がついたら生徒は既に出かけていた。

「ああいうとこ、しっかりしてるなあ...人間見習いとは思えない」

一人になり、なんとなくテレビをつけてみる。ふと時計を見れば大分夜も更けており、面白そうな番組は何一つやっていなかった。
音がないのはやはり寂しいので、何でも良いからと適当なところでチャンネルを止めた。すると、艶やかな女性の声が響き、私は一瞬身を固くした。

「深夜の地上波すごい」

いやらしさよりも演じる女性の艶かしさに目を奪われ、つい、見いってしまった。徐々に行為を激しくする画面の中の男女。

しばらくして、玄関の方から物音がした。私は焦るわけでもなく、そっとテレビを消した。

「おかえり。ありがと、生徒」
「いえいえ。コーヒーで良かった?」
「うん。」

生徒からコーヒーを受け取ったとき、互いの指が触れた。私はどきりとしたのを悟られないよう、何事もなかったかのようにまたお礼を言った。

「何してたの?」
「え、ただテレビ見てただけだよ。生徒もけっこうかかったね」
「うん、ちょっと気になるもの見てた」

気になるもの?言いかけたとき、生徒が隣に腰かけた。それなりの大きさのソファーでも、私とあまり間隔を取らず座った生徒の身体が、私と触れる。

「生徒...」
「なに?」
「何でも、ない」

隣で缶コーヒーを飲む生徒の仕草、細い腕、綺麗な指、動く喉仏、何から何まで、私は横目で遠慮がちに観察してしまう。
かすかに触れたところから、時折感じる生徒の体温。
先ほどテレビで見たもののせいもあるのだろうか、段々と身体が熱くなってくる。

突然、生徒が距離を詰めてくる。
私に触れる生徒の身体の面積が広くなり、途端に身構える。

「な、何どうしたの」
「なんか良い匂い」

ゆっくりとした動作で、けれどもあっという間に、生徒の顔は私の首筋あたりに来ていた。全く突拍子も無いことに動揺して、心臓は悲鳴をあげたようになった。

「わかった。先生の、髪」

首筋に、口付けられそうなほど近い距離。私の肩に頭をもたれさせ、生徒は私の髪を梳きはじめた。
まるで、抱きつかれているような体制。

「ちょ、生徒も同じシャンプー使えばこの匂いになるから、だから」

手を生徒の背中に回して、少し力を込めて引き離そうとする。少し生徒が下がったところで、私は立ち上がろうとした。

「先生、何で逃げるの」

私は強く腕を引かれ、ソファーに押し倒されていた。

「え、生徒...あの」
「先生に見せて欲しいものがあるんだ」

そういって、私の服に手をかけてくる生徒。
私の身体はびくりと反応する。

「やっ、ちょっと、何するの」
「さっき本で見たんだ、先生の胸もふっくらしてて、気持ちいいのかなって」

そういって、一思いにシャツの下に手をすべらせる生徒。私は複雑な思いにかられながらも、生徒の手を拒みきれずにいた。

「やっ...だめ、生徒」
「...先生、いやなの?」

生徒の手がピタリと止まる。

「え、あの...」

おかしなものだ。口では拒絶したくせに、私から手を離した生徒に少し残念な気分になっているなんて。
私にまだ覆い被さったままの、名残惜しそうな顔をする生徒に、次の瞬間、口付けていた。

「生徒、ごめん...」

一瞬唇を離すと、生徒が言う。

「なんかこれ、きもちい」

生徒はすかさず、再び口付けてくる。
一体いつ学んだのかというような、深く官能的な長いキス。
次第に気持ちが高揚し、生徒に抱きついてしまう。

「っ...生徒」
「先生、次はちゃんと見せて」

脱がせかけていた私のシャツを、大胆に取り払う。露になった胸を、生徒にまじまじと見られる。

「あんまり、見ないで...お願い」

胸を覆い隠そうとすると、腕をがちりと掴まれる。

「綺麗だね。ちゃんと、触ってみてもいい?」
「やっ...」

生徒はまじまじと私の胸を見つめながら、その膨らみを覆い隠すように、優しく揉みはじめた。
生徒の指が乳首に当たり、無意識に声が漏れてしまう。

「あ、生徒...っや」
「先生、かわいい」

生徒の唇が頬に触れる。恥ずかしくてたまらないはずなのに、変な安心感があった。

「先生、こっちはどうなってるの」
「え...」

生徒の片手に、いつの間にかまさぐられている股間。
スカートを捲られ、パンツの上から触られるだけでも身体は過剰に反応している。

「ヒロインの全部、見てみたい」

耳元で囁かれ、吐息がかかる。
私は到底拒めるはずもなく、生徒の思うがままにされる。

「んあ...生徒、だめ」
「本当は嫌じゃないんでしょ?ヒロイン先生」

耳を甘噛みされた快感に身をよじるやいなや、生徒の指がパンツの中へ侵入してくる。割れ目に添ってゆっくり指を動かされ、私は一際大きな声を出した。

「あっ!」
「不思議な感触だね、先生のここ」

楽しむように、自由に動き回る生徒の指。予想できないその動きに、快感がつきあがる。

「ヒロインも、感じるとことかある?」
「っ、やめて...恥ずかしいよ」
「教えてくれないか。まあいいや、見つけるから、気持ちよかったら言って」

そういって生徒の指が更に激しく動く。いろいろな部分を実験的に触っていた先程と違い、今度は一ヶ所を重点的に、触り方を変えては弄っている。
やがて少し皮をめくったところの敏感な突起を攻められ、私は声を上ずらせた。

「あっ、生徒...そっな、弄っちゃ...ぁん」
「ヒロインのきもちいとこ見っけ」

生徒は嬉しそうにそこを激しくいじり回すと、今度はそこに口づける。そして舌を這わせ、愛撫を始める。

「ひぁ!」

今までにないくらいの快感が、私を襲う。
音を立てて私のそこを舐める生徒が美しいと、改めて思った。

「ん...生徒」
「ヒロイン、これ、俺だけのヒミツだから」
「え?ひみつ...?」


「ヒロインのこんなに綺麗なとこ、俺しか知らない」

「ん...生徒、ありがとう」


お互い熱い視線を交わし、私達の密な夜は更けていった。








殉 情