ときめく

バットマンと遊ぶ時、爆弾を仕掛ける時、誰も思いついた事のないような事を思い浮かべた時。
彼が子供のように瞳をキラキラと輝かせる時、私はいつも胸の奥がキュンとする。
相手は凶悪犯罪者なのに、人殺しなのに、本当、


「何でだろーねー」
「Ah?何だ?」


私の作った、熊のぬいぐるみを少し弄ったもの、ジョーカーJr.をじっと睨み付けては、その四肢をぶらぶらと揺らすジョーカーが眉を寄せて答える。残念な事に今はそんなに瞳はキラキラ輝いていない。


「何であたしはジョーカーに惚れたのかなあって」
「普通じゃねェから」
「叩くよ」
「Hahaha!」


ぺしっと軽めに肩を叩いてやると夕飯の支度をしようとベッドから抜ける。その傍ら、ベッドに背を預けて床に座っていたジョーカーは特に反応しなかった。


「今日何がいいー?」
「食える物を食わしてくれ」
「刺すよ」
「Hahahahahahaha!」


何がそんなに楽しいのか。本当に意味が分からない。
腹を抱えて爆笑するジョーカーを睨んでから今夜はシチューにしようかと冷蔵庫と相談する。すると点けっぱなしになっていたTVからニュースが流れた。放送されているのはリニューアルした銀行のこと。警備もより強化されてるんだとか。でも、そんな事放送しちゃ…。


「ほぅ」
「…。」


あ〜ら、言わんこっちゃない。無邪気に瞳をキラキラと輝かせる子供に変身しちゃった。ああ、でもやっぱり可愛い。こう思うあたりあたしも相当イカれてるんだろうか。あんなに馬鹿にされるのに、それでもやっぱり好きなんて。


「ナナシ」
「ん、分かってるよ。あんまり怪我、しないでね」


重症だなあ。


「ナナシ、ナナシ」
「なにー?」


ちゅ。


「行ってくるぜ!honey」


鼻歌混じりに外へ出ていったジョーカーの背中を呆然と眺める。
やばい、
これは一番キュンときた。

結局あたしはジョーカーにぞっこん。