大好物





俺はいつものように、家で彼女の帰りを待つ。


「…ありがとう、増田くん」

『ううん、またいつでも相談して。』

「……もう私…っ、限界かもしれない」


ガサガサ音が聞こえ、


『…俺でよかったら君を支えるよ、?』


って男の声が手元の機械から聞こえてくる。


「ありがとう、増田くん……慶ちゃんとは…もう」

『いつでも俺が守ってあげる、ちゃんと……考えてね、?』


ぐす、なんて涙声。


『…はーぁ、だめな〇〇ちゃん。』


そんな女に、ため息が出る。
俺のこと悪く言うなんて……イケナイ子だね。
お仕置きが必要かなぁ。


『うーん、しかも相手はまっすーだし……ね』


ロープで縛って無理矢理して……
まっすーに電話させるかな〜

ふふふ、早く歪んだ顔が見たいなぁ、


そんなことを考えながら待っていると




がちゃり、ドアが開く音がして


「……ただいま。けい。」


玄関から聞こえた小さなその声に
俺はすぐさま歩み寄り、白くて綺麗な頬を


「……っ、…!」


"バチン!" と叩いた。


『ふふっ、おかえり』

「いっ、……た」

『なんで殴られたかわかってる?』


床を見つめた目が真ん丸に開いている。


「……ご、ごめんなさい」

『謝れば済むと思ってるの?ねえ?』




あぁたまらない。
彼女の髪はどうしてこんなにもキレイなんだろう。
引っ張りながらそう思った。


「は、なしてっ……!」


髪を掴む俺の腕を引っ掻き、必死に抵抗する彼女。
その髪を思い切り引き寄せ、


『ダメだよ?お前がいけないの。』


彼女の赤い頬につたう一筋の涙。
それを見て 背筋がゾクゾクする。
はあ、どうしてこんなに美しいんだろう…

その美しさに、涙さえ出てしまいそう。


『どうして泣くの?泣きたいのは俺の方だよ?
俺と別れるなんて許さないからね、?』


まだまだ抵抗する彼女の腕と髪を引き、ベッドへ放り投げた。


「……きゃっ!」


可愛い声が愛しい彼女から漏れる。


『どうして泣くの?綺麗な顔が台無しになるじゃん』


頬に手を伸ばそうとすると
ふい、と顔を背けたので


『は?俺に触られるのが嫌なの?』

「っ、ちが……そうじゃなくて…!」


ほんと、可愛いね


『ふふふ、お仕置きだから……ね?』



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『お仕置きだから……ね?』



ドサッと彼が私の上に乗り、
ぐっ…と腕に力を込め、私の首を絞める。

いつものことだ。


『ねぇ、俺のことスキ?』


狂いながら、目を細めて笑う。


「う、ん……かはっ…」

『好きって言ってよ、〇〇』


私を見つめてそう言い、更に腕に力を込めた。


「んぐ……けい…、スキ………はっ…」

『俺はね、愛してるよ?』


彼は笑顔だけど、瞳の奥は微塵も笑っていなくて。


『殺したいほど、愛してるんだよ。

わからない?』

「わ、……たし…っ……も、」

『ほんと〜?嬉しい{emj_ip_0177}』


ってパッと腕を離す。


「……っは、…ゲホゲホッ……」


喉を押さえて、必死に酸素を取り込む。
うまく息ができなくてひゅーひゅーと、音が聞こえる。


『嘘なんてつかないでね?』


ゆっくりと指先で頬をなぞられて
背筋が冷たくなってしまう


「わ、かってるよ……」

『今日誰と会ってた?』

「……」


なんと言おうか躊躇っていると
また
バチン! 頬を叩かれた。


『誰と、会ってた?なぁ?』


早く言えよ?また殴るぞ?
次は縛られたい?

なんてロープを持ってこようとしたから

その腕をつかみ、必死に、彼の言うことを聞く。



「……ますだくん、と…会ってた」

『どうして?』

「…慶のこと、聞いてもらってて」


"ふーん……ま、全部知ってるけどね?"
そう呟いて、私を睨む。


『どうして俺がお前をこんなに殴るかわかるか?』

「…私が、ダメな女だから」


はははっ、そう笑った彼は
私の髪をぐっと掴み、自分の方に私の顔を引き寄せる


「い、た……」

『愛してるからだよ……?』

「私も、愛してる……」


またバチン!と平手打ちをされて。


「っ痛い…」

『愛してるんだよ、こんなにも。



君の歪んだ顔が、俺の大好物なんだ……』






そう言ってまた、腕を大きく振りかぶった。

















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