踏切に紛れて


君と初めて遊んだ日の
その帰り道


「今日は誘ってくれてありがとう」

『……おう、
遅刻しちゃって悪い!』


顔の前で手を合わせながら笑うその顔は
まるで子供で


「ほんとだよ、元々時間短いのに。」


"余計短くなっちゃったじゃん"
って地面から彼に目を移すと

思わず足が止まった。


辺りはもうすっかり暗くて
ところどころに建ってる街頭が彼の髪を照らす。

それはまるで
どこかの映画のワンシーンのような。




彼がとてもとても、


かっこよく見えた。



『……どうした?』



立ち止まった私に気付いたあなた



「…いや、なんでもないっ」



小走りでもう一度、隣に並ぶ




『あそこの踏切も渡る?』



って前を指さす。



「うん、遠いのにありがとう」

『当たり前、男だもん』


なんてドヤ顔。
ふふっ、増田くんって


「増田くんって面白くて優しい」


なんて、思わず本音が漏れた


『え、そう?』


少し口をとんがらせて
片目を細める

"だろ?"
みたいな顔。


「ふふっ、わかりやすい顔(笑)」

『〇〇ちゃんこそね』

「うん?」

『……優しくて、面白い』



カンカンカンカン____


私たちの目の前で、ゆっくりと閉まってゆく踏切。

急げば渡れたのに、渡らなかった。


彼も、私も。




そんなの、期待しちゃうに決まってるよね。





「増田くん」


彼に聞こえるか聞こえないかの声量で呟く。

ゴーーーッと
目の前を電車が走り、風が吹き抜ける。




「……すき」



彼をチラリと横目で見ても、前を向いたまま。
……聞こえてない。


電車が、もう一度私たちの前を通る。




「……す、き

だ、い、す!き!」



……これも聞こえなかったか



通過してから、辺りは静寂に包まれ、
踏切が開いて 歩き出そうとすると




「ひゃっ…!」



腕をぐいっと引かれ
気が付いたら私は彼の腕の中で。



「ま、増田くん!?」

『おれもすき』

「……えっ?!」





『増田くん、すきって言ったじゃん』

「き、聞こえてたの…?」

『うん、可愛いあの声聞き逃すはずがない』

「恥ずかしい……」



顔が離れ 増田くんが目の前に。



『ね、もっかい言って?』

「ま、増田くん」

『はい、』

「す、す……き、です」

『うん、俺もです』




もう一度彼の温もりに包まれ
"絶対離さない"

そう約束してくれた。


*
*







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