酔っ払い。





「……うっ、」


彼氏にフラれた。突然に。


「…ヤケ酒だわ……」


彼の家からの帰り道、よさそうなバーを見つけたので
とりあえず入ってみた。

黒髪のイケメン店員さん。
席に座ると
私の方をちらりと見て


「彼にでも、フラれたんですか」

「……そうですけど」


え、
みたいな顔を一瞬見せて彼はどこかへ行ってしまった


「なによ……イケメンだからって…」


少しすると店員さんが戻ってきて。
目の前にピンクのカクテルの入ったグラスを置いた。


「……えっ?」

「あちらの方からです」



指差す方を見ると
赤髪の男性。

ぺこっとお辞儀をすると
少し前髪をぐしゃっとさせてこちらへ向かってきた。



『隣、いいですか?』

「……え、あ…はい」


なんだかむず痒くて目の前のカクテルを一気飲み。


『わぉ、お姉さん飲むね』

「…ヤケ酒です。
すみません、これもう一杯」

『彼にふられたんですよね』


……黒髪店員め、おしゃべりだな。


「私を笑いに来たんですか」


嫌味っぽく言うと
コトン、と黒髪店員が私の前にグラスを置いた。


『___いや、チャンスだなって思っただけ。』


……
敬語が、抜けてる。


「私そんなに軽い女じゃないですからね」

『ふーん、そうなの?それは楽しみ。』

「ねぇ、名前なんて言うの?」

『俺?増田貴久』

「私は〇〇」

『ふーん、敬語抜けてんね、軽い女』

「そっちが先だからね、チャラ男」

『ふん』


私に対抗するように
彼もお酒をぐいっと飲み干した。


喉仏が、
とっても色っぽくて
思わず見とれてしまう


『……何見とれてんだよ』


なんてにやりと笑う。


なんだか悔しくて
彼の手からグラスを奪い、一気に飲み干してやった。


『ばっ!……お前それっ……』

「うぅ……ん……」



そこからは記憶が無い。

なんだかふわふわした夢を見ていて

ちょっと温かくて

なんだか揺れていて

いい香りがして

"大丈夫かよ"って低い声がすぐそばで聞こえる




______
____




「……ここ、どこ」

「やっと起きたの」

「………あ、なたは」

「自己紹介二回目なんだけど。
……はぁ、増田貴久。

酔っ払ったお前を介抱してあげたんだからさ、感謝してよ」


私にゆっくり近付いて
彼は耳元でこう囁いた。

"ねぇ、〇〇?




一瞬で酔いが冷めるようなこと、シよっか?"



fin


*

*







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