空気が読めない王子






「アルフォンス君!」

あの日から数日の昼下がり…アルは病院へ見舞いに来た…大怪我のロイとハボックの病室に案内してくれるのはロイの部下であるメガネが特徴のフェリー曹長
「今日はあの子は一緒じゃないんだね」
「…レイミですか?…誘ったんですけど断れました」
いつも一緒のイメージがついているのかフェリーが不思議そうに令美の事をきくと答えはあっさりしてて…アルが令美を誘う時、断るついでに毒の1つや2つ言ってるのがフェリーも想像がつく

病室の前に来てみれば、お取り込み中らしくロイの怒鳴り声が廊下にまで響いていた

「お取り込み中失礼します」
「お見舞いに来ました」
とても入りにくいが、怒鳴り声が収まったところで中へ入らせてもらった、フェリーは中尉に頼まれた物を渡すとすぐに部屋を出ていった

「なんだ?」
「歩測ですけど、第三研究所の地下に入ってから数えた歩数と私の歩行幅からおよその距離を出しました…第三研究所地下にあった大扉までの距離です」
中尉が大きな地図をロイ達に見せる…地図には第三研究所を中心に大きく丸が書いてある

「大佐これ!第二研究所が範囲に入ってる」

「まてまて…もっと面白い所があるぞ…

 中央司令部外郭…大総統府もギリギリとどいてる

大総統が人造人間とつながってる可能性もありか…」

ロイは大総統とホムンクルスの関係があると怪しんでいる…が、グリードを討伐した件と今回救護班を大総統が呼んでくれた…人間の味方をしてるように見えるためこの場では大総統の疑いは薄れていった…

「それからもう一つ中尉から聞いたよ…カンナ君の力について…」
「あ…」
あの日の令美の力は人間技ではなかった…混乱状態だった中尉ですら覚えていた

「…僕はまだきいてません…でもレイミは兄さんが戻って来たら話すって言ってくれたんです」

「…ほう…焦ったいな…エドを行かせたのは間違えたか…」

「いや、大佐…レイミちゃんが俺たちに教えてくれるとは思えねースけど…」
「…何故か嫌われてますからね…大佐」
「………」
令美の話を聞く気満々なロイに部下2人の容赦のない真実に頭までもが痛くなるロイ



     [ 空気が読めない王子 ]




アームストロング少佐に無理やり連れ去られたエドは今、日差しの強い砂漠のど真ん中にいた

オートメイルによって火傷一歩手前なエドがグダグダ文句言いながら一行がついた場所は『クセルクセル遺跡』…そこにはリンの付き人フーさんがいて…エドが最大に驚く人物も…

 ロイによって殺されたはずのロス少尉がいた



ロスと再会してホムンクルスの事やヒューズの事件について話あう、ロイの作戦を知り…エドは自分が子供でバカだと感じずにはいられない…だが…

「…もう誰一人失わない方法でもし目の前で誰かが犠牲になりそうだったら…オレが守る」

     そして…エドも前へ進む

その後、ロス達とは別れ寄り道にリゼンブールへ出向いたエドは父親と久しぶりの再会をする




        ◇◆◇◆◇◆




エドが不在中な為、ホテル代が払えない危機が迫ったアルはリゼンブールのピナコに電話したがエドはまだリゼンブールに来てないと…そしてもう一つ…

「…父親?」

「そう、もう十年位行方不明だった父さんが今、田舎に戻って来てるみたい」
ピナコから聞いた話をアルは部屋に戻って令美やウィンリィ…それに加えてリンとライファンに話す

「会いに行かなくていいのかイ?」
「うーん会っても何話していいかわかんないや」
ずっと行方不明だった父の話を軽くドライに話すアル…

「嫌いなのカ?」

「…嫌い…とはちがうな…嫌おうにも記憶にあまり無いかな…でも錬金術の話はしたいな…父さんの残してった蔵書を見る限りかなりできそうな人だったから…ってあー…」

『?』

リンがさっぱりしてるアルに父親が好きか嫌いか聞いたところ返事は曖昧で…しかもアルはある事に気を取られた
「…きっと兄さんの事だ…父さんに無駄に反発して錬金術の話なんてこれっぽっちもしてないにちがいない…

最悪ぶん殴ってるかも…」

「安易に想像できるわね…」

久しぶりの父親ではなくエドの心配しているアルにウィンリィまで同意して、エドと父親の関係はすごく悪いらしい

「(…父親…か…)」



「リンはお父さんと仲いいの?」

「…仲がいいも何も会話した事無いナ」
話の流れでアルはリンの父親について聞けば返ってきた答えは予想外のもので…
「ごっ…ごめん…訊いちゃいけない事だった?」
「えーと…ご愁傷様…?」
「なんか勝手に俺の人生想像してなイ?」
リンの言葉に変な想像して申し訳なさそうにするアルとウィンリィにリンが異議を申す

「死んだんじゃないの?父親」
「「(レイミ直球すぎっ‼︎)」」

「うん違うヨ」
デリケートな部分に触れられないアル達が焦ったくなった令美が遠慮なしにリンの父親について聞く

「相手は皇帝なんだヨ、気易く話せる相手じゃないねェ」

「…シン国の?」
「そウ」

「じゃあリンって皇子様?」
「そウ」






「は…はははは…無駄だよリン…」

不老不死だと言われたアルは乾笑いしてこの前知ってしまった自分の身体の真実をリンに話す

「…不老不死どころかまっとうな人並みの人生分もあやしいもんだ

時限爆弾付きなんだよこの身体」


「時限爆弾付きだっテ?」
食事や睡眠すらいらず老化しない鎧だけの身体はリンから見て不老不死に近いが…
「そう…鎧の身体に人の魂、拒絶反応という爆弾が待っているはずだ…明日かあるいは10年後か100年後か1分後か…いつその時が来るかそれはボクには分からない…

わかるだろう?この身体は不老不死には程遠いんだよ…」

アルの話はウィンリィでさえ知らなかった驚くべき悲しい話
「そんな…じゃあ1日でも早く元に戻らないと…」
「いや、待ってくれヨ」
アルの身体を心配して慌てだすウィンリィとは違いリンは冷静に仮説を話す

「その身体がやばくなったら魂を他のものに乗り換えて生き続ける事はできないカ?痛みを感じない食べ物もいらなイ便利でいいじゃないかその身体…」

「いい訳ないでしょ‼︎‼︎」

冷静に仮説を立てるリンに怒鳴ったのはアルでなくウィンリィだった
「…何も知らないくせに…」
アルの代わりに怒るウィンリィはもっとリンに文句を言ってもいいが怒ってないアルに気づいて

「…ごめん」
「ウィンリィ!」
幼馴染と言え申し訳なさそうに謝ってウィンリィは部屋を出て行った

「…バカ皇子、デリカシーもないし場所も弁えないで余計なこと言い過ぎ、後アルは追いかければ」
「は…はい‼︎」
何も分かってない男たちに黙って話を聞いていた令美もさすがに口出さずにはいられなかった

「まったく空気が読めない奴ばっか…」

「いや〜面目なイ、あそこまで怒られるとは思わなかったヨ」
ウィンリィとアルが出て行って気まずい空気を変えたいリンはまたヘラヘラと笑っていた
「あー…あっそーダ!令美ちゃんのご家族ハ?」

「……あんたって本当空気が読めない男…」
「主を侮辱する事は許しません」
空気が変えたくてリンから出た話題に令美が心底残念を見る目でリンを見た、そんな令美をライファンが黙ってはいられない


「親の顔なんて知らない…

小さい頃に私を金に変えて捨てたみたいだから

そんな奴らの事知りたくもない」


「「……」」

「だから空気が読めないって言ってんのよ…こんな話この国では珍しくないから…」


呆れてる令美に対して当の本人と部下のライファンは言い返す言葉がない…リンの空気の読めなさは勿論…自身の両親について他人事のように話す令美にも…


「……」


食事も睡眠がいらない痛みもだって感じない鎧…


「(…こんな力…

   欲しくて持ったんじゃない…か…)」


欲しく無かったアリスを持ってしまったあの2人ならアルの気持ちがわかるんだろうと…令美は少し似てる彼らが脳裏にチラついた…

「(…私には分かんないから…)」




       ◇◆◇◆◇◆




「大変そうね…彼女」
「あはは…兄さんが帰って来てくれたら…いいんですけど…」
ホテル代が払えないアル達はホテルから出ることが出来ない為、長く仕事を休んでるウィンリィは今、ホテルのロビーで仕事場に謝りの電話をしている
「(…こーゆー時アリスの方が便利、リゼンプールぐらいなら瞬間移動ですぐだし)」
大変なウィンリィとは違い苦労一つしてない令美は優雅にお茶を飲んでアリスでエドを助ける気まったく無し



「…まぁもう大丈夫なんじゃない?」
「え?」

 
アカシ-Tsukimi