▽絶好調じゃないけど


※野球知識に関しては付け焼き刃です
 温かい目で見てください
※夢主はチートです。
 あり得ない事をやってます
ーーーーーーーーー






「(…気まずー…)」

正式に野球部へ入部しました
野球部全員の前に立たされて私はもう帰りたい




『それじゃあ双葉さん明日からよろしくね』
みゆきの罠にかかり甘い蜜に囚われて入部届にサインした私はメガネの美女、野球部副部長の高島礼さんに部活に関する事を説明されていた
『…明日からですか?早い…』
『あら?私は随分待ったわよ…入学してすぐ私の方からスカウトしたのに断れちゃったじゃない?』
『……』

『へぇ〜それは知らなかったな〜』

高島さん…根に持ってやがる…

彼女が言った通り私は入学してすぐに高島さんに呼びとめられ野球部に誘われた…絶対マネージャー業務させられると思ってたからすぐに断ったけど…

『……分かりました…明日から部活行きます…』





それが昨日の話で、心の準備がままならないまましかも合宿が始まるなんて重大事項を後々聞かされた私は合宿始まりの朝で部員達の前で挨拶…気まずいのなんの…御幸のニヤニヤした顔で見てるのが腹立たしい


「今日からお前らのサポーターとして入部してくれた」

「……双葉 千隼です、よろしくお願いします」

何言っていいか分かんないから最小限の自己紹介で終わらせた、後は監督からお願いします、部員のほとんどが意味わかってないはずだから
「(…マネージャーだと思われてるな)」
「バッティングを中心に自分のプレイに行き詰まった時双葉からアドバイスを聞くといい…言っておくが双葉はマネージャーではないからな」

監督の話にますます意味が分からない部員たち…当たり前だ、女子が野球教えるって概念が無いから監督の言葉を上手く受け入れられない

「…、今日はアップが終わり次第通常メニューではなく模擬戦をする、試合には双葉にも加わる…試合に参加しない者も観戦するように‼︎」
「…」
訳が分からない部員達が少し騒がしくなった時、監督の強い言葉に静かになりそして言われた通りアップへ行く…理解してないまま

「…頼めるか、双葉」
「……はい、大丈夫です予想はしてましたから」

あーあ…こんな事になるなら実家からスパイク持って来ればよかった…



「チームはどっちでもいいですけど守備は出来れば外野の方がいいです…スパイクがないので…」
「分かった…」
部員達がアップ中、模擬戦での話を監督とする…栄純にアップ誘われたけど、あんな体力使ったら模擬戦もたない…



「よっしゃー‼︎千隼と一緒なら無敵だぁー‼︎」
「監督にあんだけ頼んでたからね」
アップから戻ってきた栄純は監督に怖気付くことなく試合が始まるまでずっと私と同じチームにしてくれとお願して…見事、私と同じチームに

チーム分けは栄純に聞いたところ、だいたい一軍対二軍編成で私と栄純は二軍の方に入る(栄純は無理やり)しかも私は4番バッター

過信しすぎだと思う

「あーあ千隼ちゃんと別チームになっちゃった残念」
「出たな!御幸一也‼︎」
もうすぐ模擬戦が始まるってのにわざわざ一軍から二軍のベンチへ来た御幸…
「なんでわざわざ来たの…ですか」
「はははっ敬語になってねー」
「ぐぅ…」
昨日まで同じ年だと思っていた相手に正しい敬語が使えなくて笑われた…くやしい

「お願いがあるんだけとさー1打席だけホームラン以外を打ってほしんだけど」
「?なぜ」
「こいつから聞いてさ、言えばどこにでも打ってくれるって」
…また栄純余計なこと言って…御幸も栄純の使い方が上手くなってる

「……調子がいい時だけです…細かすぎる指示は無理ですけど大体の場所なら…」
「じゃあさ最後の打席だけ俺が言った方向に飛ばしてくんない?監督の許可は取ったからさ」
「……監督が認めたのであれば…仕方ないですね」
何が狙いなのか全く分からないけど…監督にまで許可を取ったのなら(一応先輩だし)言うことを聞く事にする





ーNo sideー


「絶・好・調ーーーー‼︎」

異様な空気の中、栄純の空気の読めない大声が響く…だが野球部のみんなはそんな栄純に目を向ける事はなく空高く飛んだ1つのボールに見入っていた
「……マジ…かよ」

一回裏、二軍の攻撃

一軍のピッチャーは降谷で相変わらずのスピードだが二軍と言えど千隼の前に2人、類に出た…(御幸は若干3点覚悟した)そして双葉の番…ルーティンで打席に入る前にバットを上に投げて取る千隼

初球だった

「…調子良すぎ…」



試合は点数の取り合いになった…一軍のバッターが点を取るのは誰もが予想してたが(栄純も3回投げてホームランを打たれていた)二軍も絶対点を取る回がある…千隼が打席に立つ時だ

打席に立つ千隼相手に投手を交代させているのに千隼は絶対にホームランを打つ
「…化け物かよ…」
最初監督の言葉が理解できなく不満に思ってた者もいたが今は誰一人千隼の見る目を変えた


「いやいや本当絶好調じゃないですかー」
最後の打席、バッターボックスに入った千隼に軽く話す御幸に千隼はしかめっ面
「そうでもないです…やっぱりスパイクがないせいか雑にホームラン打っちゃった…リズムが合わない」
おいおい、この結果で絶好調じゃ無いのかよ…と御幸は勿論、審判として入ってる監督も思った

「でも試合前に言ったアレ、やるだけやってみますよ」
「マジ?じゃあさ逆方向に打ってくんない?そーゆー球投げさせるから」

「逆方向…?」

栄純並に野球知識が無い千隼は御幸からの要求が理解できない
「え、そこから?ライトの方に、できればファールギリギリで」
「あーあそこって力いるから大変…入っちゃったらすみません」
「………」
右打者の千隼が逆方向のライトにホームランを打つのがどれだけ大変なのか千隼は知らない

最後の投手は青道のエース丹波でしかも自分で頼んでおきながらイジワルで逆方向に打ちにくいリードをする
「(…やっぱり調子悪い…)」
だがそんな事など何一つ知らない千隼は打った球がファールになるのは自分の調子が悪いからだと勘違いしてる

「(…集中…しなきゃ…

        次で決める…)」



結果的に千隼のチームは負け、千隼だけしか点を取ってない二軍と違って一軍はどの回でも点を取っている、終わってみれば点数の差はあるが一軍メンバーは喜こべない…頭を鈍器で殴られた程の衝撃と今すぐ練習がしたくなる程悔しい思いをしたから
「…すみません…やっぱり調子悪いと狙った場所には打てませんでした…」
「いや、謝る事ねーって…(まさかあの球を打つなんて……しかもホームラン)」
最後もホームランで終わった千隼は狙った場所に打てなかったから落ち込んでいるが、最後の打席もホームランでしかも逆方向に打った

   「(…本当この子、化け物だわ…)」

『俺と千隼が一緒なのに負けるなんておかしい‼︎』とキャンキャンうるさく喚く栄純の相手して元気になってる千隼を見ながら御幸は試合で見せた千隼のバッティングセンスの良さは勿論、外野の守備も文句無し…守備範囲の広さ、フライは確実に取る…


「…サイコーにおもしれー…」


「おい…御幸…」
「ちょーと聞きたい事がいっぱいあるんだけど」
ギラギラと凶悪な眼で御幸を呼ぶ一軍方…御幸はこれから千隼について問い出される…御幸自身そんなに千隼の事知らないので栄純にパスしたいのだが…
「…今いきまーす」


    まだ、合宿は始まったばかり…







           ーNo side endー