いつもの帰り道、ブレザーのボタンを全開にし、ネクタイを緩ませている元親は、幼馴染みのひよりと世間話に花を咲かせていた。
「ねぇ元親」
そんな中、ひよりがそっと口を開いた。先程まで交わされた何気ない会話を全て裏切るかのような重みのある声。ん?と笑って応えるが、内心は身構えていて仕方がない。
「私達って、どういう関係なのかな」
手を絡ませ、問われる。ひよりの声は僅かに期待を含ませていて、元親の胸をぎゅっと締め付けた。沈黙が続く。このまま逃げ出してしまいたい衝動に駆られ、思わずひよりの手を振り払った。はっと気付いて思わず自分の手を見たが、過ぎた時間は戻らない。
「……悪友、だったりしてな」
振り払うように、はは、と明るく笑って、でもひよりを見る勇気はなくて。きっと今にも泣きそうな顔をしているのだろうと居たたまれなくなって。
「じゃあ、また明日な」
視線を交わさぬまま別れの言葉を告げ、頭を数回わしゃわしゃと撫でてから笑顔で背を向けた。でも期待している返事は来なくて、縋るように服を握り締めて、居たたまれなさに包まれながらその場を立ち去ろうと足を踏み出した。
耳を澄ませても聞こえるのは風の音だけ。紅くなった木の葉は、二人の間にひらりと舞い落ちた。
いかないで
(希望は静かに打ち砕かれた)
2011/11/30
2012/02/14編集
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書いてる内に泣きそうになりました。
最初はハッピーエンドにしたかったんですが…そうそう上手くいきませんね