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>> 理由を5字以内に述べよ  [1/1]

チャイムと共に始まり、チャイムと共に終わる授業。

その日は、午後から水泳の授業があった為、酷く疲れ切っていた。

「あれ、ひよりー今日はもう帰るの?」

鞄を持ってよろよろと靴箱に向かっていると、佐助に声を掛けられた。

「うん…もうくたくただよ…」
「ふーん…」

佐助は暫く思案顔だったが、後ろからの幸村の突撃で遮られた。

「ちょっ、旦那!廊下は走ったらダメってあれほど言ったでしょ!?」
「ひより殿!今日は用事は無いのでござるか!?」

佐助を華麗に無視した幸村は、私の肩をガシッと掴んで言った。

「え?うん…多分…」
「真でござるか!!」

そんなキラッキラしなくても、と言いたくなるほど、幸村の目は輝いていた。

「では一緒に帰るでござる!!」
「え、いいよ」
「俺様も一緒に帰るからね」
「な、そうだったのでござるか?」
「いや、俺様と旦那、家隣でしょ!?」

2人が何だか喧嘩を始めた気がする。

私…疲れてるんだけど。

とにかく無視して、すたすたと歩き出した。
待たれよひより殿ぉお!!と幸村が走ってきて、佐助が近所迷惑!!と焦っていたが、私は完全無視だ。



「おはよー」
「おぅ、おはよ」
「元親ー昨日の宿題出来た?」
「あぁ、決まってんだろ!」
「え!じゃあ見せ、」
「見事白紙だぜ!すげぇだろ?」

馬鹿かお前。
白紙を堂々と自慢するな。

まあいいか。ちょっと馬鹿な位が丁度いいよね。

「はぁ……あ、元就に見せてもらお」

私はそう思い付くと、生徒会室に駆け寄った。
元親と元就とは、昔からの友人、所謂幼馴染だ。
昔からよく元就に勉強を教えてもらっている。

しかも私は生徒会書記だから、生徒会室には行き放題。
つまり元就に宿題を見せてもらう絶好の場なのだ。

「失礼しまーす」

ガチャっとドアを開けると、見事、元就しか居なかった。

「あ、元就ー、昨日の数学の宿題見せてー?」

単刀直入に言ったからか、元就の表情は険しい。

「やっぱり自分でやれって言う?でもこれ幾ら考えても分かんなくってさー」

すると突然元就が、机の上の大量の資料を叩いた。

え…?怒ってる…?



「元…就…?」
「ひより…、貴様、昨日何処へ行っていた?」
「え…昨日?」

昨日はあのまま帰って、途中の公園で幸村とブランコで遊んで、佐助がそれに呆れてて、そしたら幸村が甘味を食べたいって言うから途中でアイス買い食いして、その後は家に帰って宿題しようとしたけど、分からなくて放置して…PCでネットサーフィンしてから寝たかな。

「我はそのような事を聞いているのではない!生徒会書記として恥ずかしくないのか!?」

もしかして生徒会書記の癖に買い食いした事怒ってる…?

「あ…あれは、幸村がどうしてもって言うから!!」
「貴様は彼奴に振り回されすぎだ!」
「佐助だってOKしたし!!」
「あの2人の言う事なら何でも聞くのか?」
「だって私も食べたかったもん!!」
「夕飯など待たずとも、此処で弁当を食えば良かろう!」

え…?夕飯…?

「折角用意しておったのに…すっぽかすとはどういう了見ぞ!!」
「あ…」

昨日…生徒会の集会あったんだ…。
元就はその事を怒って…。

「理由を5字以内に述べよ!!」
「いや、無理無理!!」
元就は不機嫌そうな顔を止めない。
お腹が空いた時の為に、弁当用意してくれてたのに、私が来なかったから…。

「…ごめんね、元就」

すっと謝罪の言葉が出た。元就の顔が直視出来なくて、俯く。

「ふん…」

怒ってる…よね。

怖くて顔を上げる事が出来ない。

「本来は許し難い事態だが…」

元就の手が、私の頭に触れた。

「今日、仕事を仕上げたら許してやらん事もない」

私はバッと顔を上げた。

「本当!?」
「二度は言わぬ」


「ありがとう!!」


元就は照れたようにそっぽを向いた。


(弁当は作ってきてくれた?)(…貯蔵庫に触るでないぞ)(さすが元就!!)

2010.08?
御題提供:SPIN 様



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