「ナマエ……」
「こた、ろ……さ」
我が主、小太郎様が私を呼ぶ声は、まるで情事の最中の如き甘さを持っていた。返事をしようと、渇ききった口内を湿らせようと思ったが、喉に這わされた手に力を込められ、叶わない。
「うぬの願いを、我が叶えるのは容易い」
小太郎様の爪が、ぐっと食い込むのを感じた。頸動脈に沿って正確に圧迫され、どくどくと脈動が暴れる。このまま喉を切り裂かれるか、首をごきりと折られれば、私は直ぐにあの世行きだろう。
「命の危機に瀕しても、考え事とは……見上げたものよ」
「か、は……っ」
私の喉を握り潰す勢いで、小太郎様は私の首を絞め上げる。とうとう気道が狭くなり、途端に呼吸が苦しくなった。脚が宙に浮く程身体を持ち上げられ、苦しさに弱々しく脚を動かす事しか出来ない。
「流石に苦しいか。ナマエ?」
「こ、た……さま……っ」
「まだ、乱世は終わらぬ。混沌もまた同様」
くつり、と小太郎様は愉しげに笑う。そしておもむろに手の力を緩めなさった。支えを失った私は膝から崩れ落ち、反射的に吸い込んでしまった外気に大きく咳き込んだ。
「うぬの足掻く様が我には愉しい。故に……今はまだ壊さぬ」
その時まで、我を存分に愉しませよ。
そう耳元で囁き、小太郎様はふっと姿を消した。私の願いは聞き届けられなかったけれど、私の存在が小太郎様の愉しみの一つだと思うと、苦しさより歓喜に身が震えた。
どうぞ私を壊して下さい。
この命の全て、貴方様のもの
三萬企画のボツ作品。鬼畜の部類ではぬるい方かな★←
2の風魔エンドムービーで半蔵が首絞められている場面があるんですが、羨ましいと思ってしまうので、やっぱり天倉はどえむなんだと思います。
title thanks:DOGOD69
2011/10/20
(本領発揮した)天倉