伝われば
いいのに

日課である、夜の畑の見回りを終えて、小十郎とナマエは近くの小川で土にまみれた手を洗っていた。




「水が冷たく感じるようになってきましたねぇ」

「そうだな…夜も長くなったもんだ」




夏の暑さも遠退きだした近頃は、日中は暑いとはいえ朝晩は冷え込む。時折聞こえる小さな虫の音色も、秋を感じさせるのに一役買っていた。




「いつも悪ぃな、手伝わせて」

「良いのです。私も畑仕事は好きですし」

「だが、疲れるだろう?無理して倒れちまったら俺が困る」

「ふふ。それはお互い様でしょう?」




それもそうだ、と笑いあう。今宵の月は半分より幾らか満ちた大きさだったが、雲が無いお陰でかなり明るい。仄白い月光に照らされたナマエは、見惚れる程に美しい…と小十郎は思うだけに留めた。口にするのは照れ臭いし、何より言葉ではきっと陳腐な響きにしかならないだろう。だから。




「ナマエ、手を」

「…はい、小十郎様」





手の平を差し出し、ナマエの冷えてしまった手を柔らかく握る。歩き出しながら、屋敷へと辿り着く迄の間に、ナマエに温もりが戻るのを願いつつ。




伝われば良いのに
どんなにお前を愛しているかが







(…ふふ)
(…どうした?)
(私も愛していますよ、小十郎様)
(っ、…お前には、適わねぇな…)









アンケで小十郎人気なので、これは書かねば!と早速。ぬばたまになってから、そう言えば小十郎短編書いてないなぁと気付いた次第です。(今更)

やはり甘々は夫婦に限ります。天倉脳内で、所帯持ちが似合うキャラはダントツで小十郎です(笑)


天倉の書く小十郎が好きだと言ってくれる方がいて嬉しい限りです…!!これからちょこちょこ書いていきたいと思います^^


2010/09/20
天倉