「吉継様の不幸ですよ」
「ぬしの幸福は何だ?」
「吉継様の幸福ですよ」
そう微笑むナマエに、どうしたものかと吉継は唸った。彼女にも等しく不幸を与えたいと思うのだが、それがなかなかに矛盾しているのだ。
「ぬしを不幸にするには、我が不幸にならねばならぬ」
「でも、吉継様が不幸になるには、私は幸福にならなくてはなりませんね」
「だが、ぬしの幸福は我の幸福。…埒が明かぬとはまさにこの事よなァ」
不幸は等しく降らねばならぬ。しかし、堂々巡りのこの問題に、答えを求めるとすれば。
「…我で良いのか」
「吉継様でなくては」
「ぬしはまこと率直よな」
「それだけが取り柄でございます故」
手をやんわりと取ったナマエは、布に包まれた掌に唇を寄せる。お慕いしております、吉継様。その言葉に、吉継は困ったような笑みを浮かべた。
禍福をどう愛おしめと言う
矛盾だらけのそれを、
お相手刑部さんなヒロインだと押せ押せが書けて楽しい。
純粋な好意に弱い刑部さんがとても好みなので、ぼちぼち増えていく予定です。
title thanks:肋
20110331
天倉