君にだけ
告げる
我が儘




「卿は私のものだ、ナマエ」




そう言って彼―松永久秀はくつりと嗤った。少しかさついた冷たい手が、私の頬を存外優しく撫でる。寒気に似ているようで、質の違う何かがぞくりと肌に伝わった気がした。




「卿の滑らかな頬も、艶やかな髪も、」

「…っ」

「囀る唇も、小さな手も、汚れを知らぬ瞳も、」




口に出した身体の部位に、ゆるゆると口吻けを施していく。流石に瞳には嫌だったのでぎゅ、と瞼を閉じれば、愉しげな笑みの気配と共にそこに唇が触れた。




「卿に拒否権は無い。それは卿自身がよく理解しているだろう?」




…そう。私は彼に買われたのだ。彼がどんな理由で私を選んだのかは分からないが、少なくとも私には逆らうという選択肢は無い。それはすなわち死を意味する。彼は、歴史ある物すら破壊することを厭わない苛烈な男だから。




「欲しがれば良いのだ、というのが私の持論なのだが…」




不意に低く耳元で囁かれただけで、ぴくんと跳ねてしまった己の身体が恨めしい。不自然に途切れた彼の言葉の先を、促すように見上げれば、冷たいと思っていた筈の切れ長な瞳と視線がかち合う。どこか甘やかさを含んだその笑みが気恥ずかしくて、私は顔を背けようとした。




「卿の身体は勿論、その愛らしい心も」




頂くとしようか、そうまた嗤って。彼は私の唇を掠め盗った。







君にだけ告げる我が儘
人というものは強欲に出来ている









ちょくちょくブームが来る松永さんでした。
彼の色気は苛烈苛烈。BASARA1の18禁キャラだと思います。

まだ宴発売を知らない頃の産物でした。


title thanks:Paralysis・syndrome



2011/10/25
天倉