「こっちに来やれ。良い物をくれてやろ」
ひらり手招きされて近付いてみれば、刑部様は何やら怪しげな壺を持っている。もしかして毒か何かだろうか、とびくびくしていると、彼は楽しそうにヒヒッと笑って、匙で中身を掬いだした。とろり、と透明なそれは。
「…水飴ですか?」
「ソレよソレ。これなら三成も食すかと思うてな、取り寄せたのよ」
「まぁ、そうでしたか。…でもこんなに沢山?」
「余りはぬしに。食べたかろ」
「…はい!」
私がこくり頷くと、刑部様は瞳を細め、水飴を掬った匙を私につい、と差し向けた。受け取ろうと手を伸ばしたが、ひょいと躱されてしまう。意地悪です、と軽く睨めば、彼はまた楽しげに笑った。
「われが食べさせてやる故、口を開けてみせ」
「恐れ多いです…自分で食べますから…!」
「恥じるぬしが見たいのよ。早に食べぬととろり垂れるぞ」
刑部様が匙を傾けるものだから、ゆっくりと、しかし確実に水飴は落ちる。私は慌てて口を開けてそれを受け止め含んだ。でも量が多くて、口の端を伝った水飴を思わず拭ってしまい、手にべたりと付いてしまった。
「甘ーい…けど、べたべたです…」
「困った奴よ。どれ、綺麗にしてやろ」
「ひゃ…っ」
手を取られ、指をべろり舐められた。そのまま甘く噛まれて、どうしてか変に高い声が出そうになる。水飴が綺麗に舐めとられた後も、刑部様は手を離してくれない。
「刑、部さま」
「ぬしは…ナマエはアマイ、アマイ」
「それは水飴で…私は甘く、ないです」
「それは真か、それとも嘘か。われが確かめてやろ」
にんまりと笑った彼は、また水飴を掬ったのだった。
君の骨まで味見したい
アマイ事には変わりない
拍手放置文その三。
水飴は練り練りするのが楽しかった記憶があります。
それにしても刑部は大抵危ない方向に行くけど、天倉の所為じゃないよね!断じて!←
title thanks:魔女のおはなし
2013/01/13
天倉