雨の匂いに
溺れます

どどどどどどど。


そんな表現が相応しい、突然の豪雨。道はすぐさま水浸しになる。どんよりと空を埋め尽くす雲は厚く、直ぐには止まないだろうという事は明白だった。



「だから車で行きましょうと申し上げましたのに!」

「それじゃァいつもと変わんねぇだろ」




とある店の軒下で雨宿りしているらしい、体格の良い不遜な表情の男と、スーツを身にまとう小柄な女の二人組。端から見れば上司と部下、と言ったところだろうが。




「でも社長!」

「名前で呼べ。今日はビジネスじゃねェと何度言やぁ分かる?」

「う…申し訳御座いません、クロコダイル様」




男―クロコダイルがくわえていた葉巻をびっと突き付けられ、女は言い淀み頭を下げた。堅苦しさの残る彼女に、クロコダイルはやれやれと肩を竦める。



「もうちっとどうにかなんねぇのか、ナマエ。愛人連れてる気分がしねェ」

「あああ愛人だなんて…!」

「言い方変えるか?おれの女とか、」

「おっ…からかうのは止めて下さい!」

「クハハ」




実際、クロコダイルと顔を真っ赤にさせた女―ナマエはビジネスにおいてもプライベートにおいてもパートナーである。とは言え、ナマエは根っからの仕事人間である上に、色恋沙汰にはとことん疎い。その初心さがまた、根っからのサディストであるクロコダイルの嗜虐心を煽るのだが。





「止むのを待つのも面倒だ、帰るぞ」

「え!?駄目ですクロコダイル様!濡れたら弱ってしまいますでしょう!」

「あァ?偶には良いじゃねぇか。水も滴るナントやら、だ」

「良くないです、全くもう」




クハハと高笑いするクロコダイルに、小さく怒りながらナマエは持ってきていた折り畳み傘を取り出す。止めても聞かない男というのは、よく知っているからだ。開いたそれは小さめで、大柄なクロコダイルに少し釣り合わない。




「…無いよりはマシでしょうから、きちんと差して下さい」

「お前が差せ。んなモン要らねェ」

「お願いですから!」

「おれは差さねェ」




ナマエの懇願も、頑として受け付けない。困りきったナマエの顔は、今にも泣き出しそうだった。それをちらりと一瞥して、クロコダイルは溜め息と共に紫煙を吐いた。




「…だから、お前が差せ」

「え…ひゃっ」





ひょい、と軽々ナマエを抱えると、クロコダイルはずんずんと雨の中を進み始めた。いきなりの状況変化に慌てつつも、ナマエはクロコダイルの腕に支えられながら傘を差す。クロコダイルが羽織ったコートのお陰もあって、何とか大部分は濡れずに済みそうだ。





「これなら文句無ェだろ」

「はい……でも、そのっ」

「何だ」

「恥ずかしいです…!」

「こんな土砂降りじゃァ誰も居ねぇよ」




それでも尚赤面しっぱなしのナマエを、至近距離でにやにや眺めたクロコダイルは、更に追い討ちをかけるように彼女へ口付けた。





雨の匂いに溺れます










キャラ把握出来てないのに見切り発車。話し方とか笑い方とか大丈夫かな…違ったら正直すまん、社長。

社長は気に入ると溺愛しそうなイメージ。ツンデレ6:4な割合。根っからのサディストですよね、顔が←

色々と設定に問題がある気がするけど書きたかったのでお許し下さい…。


Title thanks:0501

2010/08/27
天倉