指で触れた唇は荒れ模様。季節の所為か疲れているのかその両方か、兎に角ガサガサだ。リップクリームが見当たらないのと忙しさもあって、手入れをサボっていたのも理由の一つだろう。
(…もしかしてクロコダイルさんの所為って事は…無いよね?)
目の前で執務をこなす彼をチラリと見やる。確かに彼の能力なら出来そうだけど。そして、思い当たる事を…恥ずかしながらしているのだけど。いやでも、まさかそんな筈は。
「百面相して、何考えてやがる、ナマエ」
「えっ、あ、その、何でもないです!」
「…言えねェ事か。なら、」
言わせるまでだ、と低い声が耳元で聞こえた。砂になって背後に移動したのだろう、と理解する前にグイッと抱き寄せられて。キスされる!とおもわず自分の口を手で塞いだ。
「………何だ、この手は」
「ぷは、えっと…あの…っ」
「おれとなんかじゃ、キス出来ねェか」
「ちちち違いますよっ」
私は一生懸命弁明した。ガサガサな唇の所為で、クロコダイルさんに幻滅されたら嫌だもの。
「だから、今日はその…キスはダメですっ」
「んな細けェ事気にすんな」
「私が気にするんです!」
「なら、」
ベロリ。
まさしくその表現が相応しい感じで、彼は私の唇を舐めた。言葉にならない私に、クロコダイルさんは笑いながら、今度は小さくキスをした。
ひび割れた
唇に束の間の潤いを
(なっなっ、舐めたら悪化するんですよ!?)
(知らねェ)
(もう酷いです!)
最近ガサガサかつリップクリームも見当たらないので書いてみました(笑)
リップって何で必要な時に見つからないんだろう…使い切れた試しが無いです。
誰で書こうか迷って(他候補は鷹副船長煙)、あみだくじで決めたのは秘密←
title thanks:Circulation.
2010/09/30
天倉